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 日本スポーツクライミング界のエースで、ボルダリング・ワールドカップ(W杯)の女子ランキング1位をひた走る21歳、野中生萌(TEAM au)が「苦手克服」の旅に出た。

 今月3日、スイス・ヴィラールで6日に開幕する「リード」のワールドカップへ。リードW杯への本格参戦は、野中にとって5シーズンぶり。「自分の全力を出すこと、経験を積むことが重要なんじゃないかなと思います」と思いを語り、羽田空港を出発した。

 今季は得意のボルダリングでW杯開幕戦で優勝。以降は5戦連続2位と好調だ。野中自身は「スピード」でも女子日本記録(9秒37)を持っている。

 ただ、表彰台を思い描く2020年東京五輪は、ボルダリング、スピードに加え、野中が苦手としている「リード」を加えた3種目の「複合」で競う。総合順位は3種目の順位をかけ算し、その少ない順に決まるから、表彰台を狙うには、偏りのない強化が必要なのだ。

 日本代表の安井博志ヘッドコーチは、「どんどん試合に出て、力をつけないと」と、開幕からのリードW杯参戦の目的を強調。野中自身も、「まだ(上位の)順位を狙う位置にいない。とりあえず準決勝に進みたい」と、「経験」と「強化」に重きを置く。

 リードは、ロープを付けて高さ12メートル以上の壁を登り、制限時間内にどの高さまで届いたかを競う種目。5メートルの壁で完登したコース数を争うボルダリングより一つ一つの動きの難度は下がるが、代わりに持久力が求められる。

 一方の野中は、2016年の世界選手権パリ大会のボルダリングで2位に入った実力者で、スピードの女子日本記録保持者。持ち味は爆発力とパワフルさだ。スタミナが重要なリードW杯とは距離を置いてきた。16歳だった2013年シーズンは5戦にエントリーしたが、以降の出場は4年前に1試合、昨年に1試合ずつ出ただけだった。

 ボルダリング、リードのいずれのW杯でも、何度も表彰台の経験があるもう一人の女子のエース、29歳の野口啓代(同)に対し、野中のリードは17位が最高。今年3月のリード日本選手権も9位と振るわなかった。野中が五輪表彰台を狙うには、リードの底上げが不可欠なのだ。

 安井コーチは野中について「ボルダリングは神がかっている。この流れを(リードでも)持ち込みたい」と語る。さらに、最近は変化も感じ取っている。「野中の筋肉の質が変わってきている。(リードも)期待できる」。ボルダリングの練習の中に、持久系の動きを取り入れてきた成果が少しずつ現れているという。

 リードW杯の開幕戦は6日(日本時間同日深夜)に予選、決勝は7日夜(同8日未明)に行われる。(吉永岳央)

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