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 2018年度の神奈川県の硬式野球部員数は7498人と、平成に入って最多だった14年度の8535人から約千人減少した。

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 最初にやったのは部室で殺虫剤「バルサン」をたくことだった。マネジャーの南舘七海さん(3年)が入部した厚木清南高野球部に部員はいなかった。グラウンドの草むしりだけが1年間、続いた。昨春、部の紹介動画を作って、新入部員を待った。

 その姿を見た須藤皓治監督(28)も生徒たちに声をかけた。5人が入った。だが、茶髪とピアスを禁止にすると、3人がやめた。

 2人が連合チームとして秋の大会に出場。張り切っていた須藤監督に「こんなに本気でやるつもりじゃなかった」とつぶやき、大会後、2人は去っていった。

 「負けたときは、すごく悔しがっていたんですが……。彼らがやりたかったのも、私がやらせたかったのも野球。何が正解なんでしょうか」

 ソフトボールの授業で、サイアド・サード君(2年)は気持ちの良いスイングをみせていた。須藤監督に声をかけられ、今年2月に入部した。単独出場した2009年以来の夏の大会への出場が決まった。家族の反対があり、最近は練習に顔を出せない。それでも、公式戦初安打を目指す。

 南舘さんは自校の選手が大会に出られることを願いながら、毎週末、連合チームの練習に通う。

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 向上高の部員数は127人。平田隆康監督(43)は「大切な子を預かっているので、誰1人辞めさせず、やりきらせたい」。

 成績が良い部員は、勉強をサポートする。別の部員は、体調管理のための「メディカル新聞」を発行する。それぞれに果たす役割がある。

 双子の国原祐樹君と将樹君(3年)は、比べられるのが嫌で、別々の高校に進学しようと考えていた。平田監督の話を聞き、「違う役割でチームに貢献できそう」と同校に決めた。

 思い切りのいい守備をする祐樹君。足に自信のある将樹君。「強みも、役割も違うので、比べられることが気にならなくなった」

 全員が主役で、全員で勝つチーム作りが、これからの高校野球に大切な価値観になると、部員たちも平田監督も信じている。「皆が違う色でいい。人数が多いほど、きれいな虹色になる」

減る部員 進む二極化

 2018年度の神奈川県の硬式野球部員数は7498人(5月末現在)で、03年度以降で最も少なかった。学校ごとの部員数も、最も多かった10人以上40人未満の学校は75%から58%に減少した。一方、単独での出場が難しい10人未満の学校が3%(5校)から9%(17校)に、40人以上の学校も23%(43校)から34%(66校)に増加し、二極化が進む。

 監督へのアンケートでは、部員減について「スポーツ種目の多様化」、「お金がかかる」、「根性論が今の子どもに合わない」などの回答があった。

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