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【アピタル+】患者を生きる・スポーツ「脳振盪」(スポーツの頭部外傷)

 頭を強く打ったり、揺さぶられたりすると、受診が必要だったり、時に重篤な症状に陥ったりすることがあります。スポーツの現場での頭部のけがや必要な備えなどに詳しい、東京慈恵会医科大学付属病院の谷諭(たにさとし)副院長(63)に聞きました。

重篤なけが、処置早いほど救命率アップ

 Q スポーツ中の頭部のけがに対する意識は高まっていますか。

 A 昔は頭を打って倒れる選手がいると、「魔法の水」などと言ってやかんの水をかけるようなことが、スポーツの現場ではありましたね。今はだいぶ競技団体による啓発が進んできました。

 ただ、脳振盪(しんとう)は症状があいまいで、現場で正しく判断し、プレーを止めているのは実は多くないと感じています。物忘れだったり、プレーがおかしかったりして、後からわかることもよくあります。

 特に部活動をはじめ、学生や市民スポーツのレベルではまだまだ啓発が必要です。

 Q 頭のけがが起きた時のために、日ごろからできる備えはありますか。

 A 急性硬膜下血腫などの重篤なけがの場合、処置が早いほど救命率が上がります。練習や試合では医療責任者を決め、救急車を呼ぶ場合の搬送手順を確認しておきましょう。意識がはっきりしない、嘔吐(おうと)を繰り返すなどの症状がある時はすぐに救急車を呼んでください。

 自分で病院に行くにしても、脳の専門医がいる病院をいざという時のために決めておきましょう。

 脳内の出血の有無だけならCT検査で短時間でわかります。もちろん、MRIでより詳しい検査が必要になることもあります。

 自覚症状から判断するのは難しいので、客観的に評価することが大切です。日本臨床スポーツ医学会が公表している評価方法もあるので参考にしてください。受診するかどうか判断するポイントも載っています。(http://www.rinspo.jp/pdf/Protect_Your_Brain_2.pdf別ウインドウで開きます

 

写真・図版

脳振盪、一度起こすとリスク6倍

 Q 繰り返し脳振盪になる選手にはどんな注意が必要ですか。

 A 一度脳振盪になると、その後もなるリスクが6倍くらい高まります。症状があるままプレーをさせては絶対にいけません。復帰後も特に周りが注意し、異常が起きた時に早く気がつくようにしましょう。症状が長引くなど、少しでも「いつもと違う」と感じる様子があったら、やはり専門医を受診させましょう。

 脳振盪が起きると、脳の神経のケーブルがねじれを起こし、停電したような状態になります。通常はそれが時間とともに戻るのですが、何度も繰り返しているとケーブルが切れていく可能性があり、そうすると将来的に認知症のような症状になる危険性があると指摘されています。

 繰り返し起こすと、競技をやめることを考えないといけないこともあります。

 

 ◇ご意見・体験は、氏名と連絡先を明記のうえ、iryo-k@asahi.comメールするへお寄せください。

<アピタル:患者を生きる・スポーツ>

http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/(松本千聖)