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 滋賀県日野町で1984年、酒店経営の女性(当時69)が殺害された「日野町事件」で、大津地裁(今井輝幸裁判長)は11日、強盗殺人罪で無期懲役が確定し、服役中に病死した阪原弘(ひろむ)元被告(当時75)の再審開始を認める決定を出した。

 事件では84年12月に女性が行方不明になり、85年1月に遺体が町内で見つかった。酒店から持ち去られた金庫も同年4月に町内の山林で発見された。滋賀県警は約3年後の88年3月、常連客の阪原元被告を強盗殺人容疑で逮捕した。

 捜査段階で自白した阪原元被告は公判で一転否認したが、大津地裁は無期懲役の判決を言い渡し、2000年に確定。阪原元被告は01年、裁判のやり直しを求め再審請求。大津地裁で棄却され、大阪高裁で即時抗告審中の11年に死亡した。遺族が12年に2度目の再審請求をしていた。

 第2次再審請求では、阪原元被告が金庫の投棄現場まで捜査員を案内したとする「引き当て捜査」の写真ネガを検察側が開示。現場にたどり着くまでが写真19枚で「再現」された実況見分調書が作られ、自白の信用性を裏付ける証拠とされてきたが、このうち8枚が帰り道で撮られた写真と判明した。

 弁護側は「迷わず現場に案内できたなどとする証拠の信用性が崩れた」とし、自白の信用性もないと主張。これに対し、検察側は「任意に案内できた事実は変わらない」などと反論していた。

 また、弁護団は殺害方法に関する専門医の新たな鑑定書も提出。「自白の方法では遺体の首に生じた圧迫痕などを説明できない」と訴えていた。(真田嶺)