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 岡山大の中塚幹也教授らの研究班は、性同一性障害の当事者が、子どもを持つことをどう考えているかを探る意識調査の結果をまとめた。特別養子縁組で「子をもちたい」と思う人が5割を超えていた。7日、岡山大鹿田キャンパスで開く公開セミナーで報告する。

 性同一性障害とは、心と体の性が一致しない人が、体の性を心の性に合わせて変える治療をする際の診断名。体の性が女性で、心の性が男性という「FTM」と、その逆の「MTF」がある。

 中塚教授らは、中国地方のジェンダークリニックを受診した性同一性障害の人162人に調査表を配り、回答した157人分のデータを分析した。平均年齢は34歳で、FTMの人が94人(59・9%)、MTFの人が63人(40・1%)だった。3分の1が、子宮・卵巣、精巣を摘出する手術を受けていた。

 家族全般に対する意識では「血のつながりがなくても家族になれる」は9割以上が「思う」「まあ思う」と答え、半数近くが「年をとったときに、家族がいないとさみしい」と答えた。

 性同一性障害の人が子を持つために現在国内で可能な方法は①子がいるパートナーと結婚する②特別養子縁組などの制度を利用し、養子や里子を迎える③第三者の提供精子による人工授精(FTMの人)か、提供卵子や代理母を利用(MTFの人)④手術前に凍結保存した自分の卵子・精子を利用――がある。ただし、関連学会のガイドラインなどに抵触するものもある。

 ②~④の方法を「自分は行いたいか」と尋ねた結果では、特別養子縁組は、FTMの64・2%、MTFでは43・9%が「行いたい」と答えた。

 提供された精子をパートナー女性に人工授精する方法は、FTMの68・4%が「行いたい」と希望し、1・3%はすでに実行していた。MTFの人では、手術前に凍結した自分の精子を使う方法を「行いたい」のは21・1%で、3・5%は実行していた。

 一方、卵子の提供や凍結については「行いたい」人はどちらも30%台で、実行した人はいなかった。

 iPS細胞による精子・卵子の作製や子宮移植など、現在実験や議論の段階にある技術については、5~8割が「行いたい」と答え、これからの生殖技術開発に期待を寄せていた。

 調査をした中塚教授は「体の性を手術で変えようという人は子どもなんか欲しくないだろうと思い込む人もいる。当事者の思いをデータで示すことで、生命倫理や法律を考えていく議論の出発点にできるでしょう」と話している。

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 調査結果を発表する公開セミナー「様々な家族のカタチ LGBTと家族形成」は、7日午後1時半~4時半、岡山市北区鹿田町2丁目、岡山大(086・235・6538)の鹿田キャンパス臨床講義棟2階で。県内在住の当事者臼井崇来人さんや、全国養子縁組団体協議会の代表理事らを交え、今回の調査結果などを踏まえ考える。誰でも参加できる。無料。

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http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(中村通子)