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 インドネシアで唯一、イスラム法に基づく刑罰が定められているスマトラ島北部のアチェ州で、州知事が反汚職法違反の疑いで逮捕された。州知事が幹部を務め、国からの独立を目指した闘争組織「自由アチェ運動」(GAM)がイスラム法の厳守を求めてきただけに、イスラム強硬派やネットユーザーからは「州知事をイスラム法で裁き、手を切断すべきだ」との声が出ている。

 捜査機関の反汚職委員会(KPK)が3日、イルワンディ・ユスフ州知事(57)らを逮捕した。インフラ事業に絡み、州内の県知事から現金約5億ルピア(約380万円)の賄賂を受け取った疑いが持たれている。

 アチェ州では同性愛など一部の「犯罪」をイスラム法で独自に取り締まっている。KPKは国の反汚職法に基づいて訴追するためイスラム法は適用されないが、イスラム至上主義を掲げるイスラム防衛戦線(FPI)は、窃盗犯の手を切断するイスラム法の定めを踏まえ、「州知事の手を切断すべきだ」と主張。また、ツイッターなどでも「収賄の罪は盗みより重い」「イスラム法は弱者にしか適用されないのか」といった声が相次いでいる。

 イルワンディ氏は5日、地元メディアに、容疑を否認したうえで「イスラム法に汚職の定義はない。自分は国の法律に従う」と話した。GAMの元幹部で、2007年~12年に州知事を務めた後、昨年に再選した。(アチェ=野上英文