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 オウム真理教元代表の松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚ら教団の元幹部7人の突然の死刑執行。今も多くの信者が残るロシアでは、高学歴の若者を引きつけ凶悪事件を起こした教団への強い警戒感が残っている。

 ロシアには一時、1万人以上の信者がいたとされる。主要メディアは死刑執行を一斉に速報した。ニュースには「ロシアで活動が禁止されているテロ組織」との注釈が必ず添えられている。

 1991年、社会主義国だったソ連が崩壊。「ロシアでは思想の空白が生まれ、新興宗教が浸透しやすかった」(政治学者)ことから、未来を悲観したエリートの若者が教団を支持し勢力を伸ばしたという。

 95年の地下鉄サリン事件後、教団はロシアでの活動を禁じられたが、その後も非合法に活動を継続。2000年にロシア当局に逮捕されたロシア人信者は、松本死刑囚の奪還を目指し東京などでテロを計画していたとされる。経済紙RBCによると、今も全国の54地域に数千人の信者がいるとされ、当局の教団への警戒感は根強い。

 海外にも強い衝撃を与えた一連の事件は、国際的にテロへの懸念が高まるなかで改めて注目を集めてもいる。

 英国では今年3月、同国在住のロシアの元スパイが神経剤「ノビチョク」で狙われたとされる殺人未遂事件が発生。英紙フィナンシャル・タイムズは地下鉄サリン事件を「テロリストによって化学兵器が使われたことが判明している唯一の例」として取り上げ、テレグラフ電子版は、事件の被害者が脳や目、精神面などに長期的な健康被害を被っていると紹介した。(ウラジオストク=中川仁樹、ロンドン=下司佳代子)