拡大する写真・図版 試合終盤、ブラジルの反撃を祈る女性ファン=2018年7月6日午後10時49分、ロシア・カザン、高野遼撮影

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 王国の敗退に、南米から押し寄せたファンは悲嘆に暮れた。サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会で6日(日本時間7日未明)、ブラジルが準々決勝でベルギーに敗れ、南米勢はすべて姿を消すことになった。

 1―2とリードを許した試合終盤、ゴール裏のブラジルサポーターたちは総立ちで声援を送り続けた。だが必死の猛攻も実らず、何度も天を仰ぐ。祈りは通じず、無情の笛が鳴り響いた。立ち尽くしたまま無言でピッチを見つめるファンたち。声を上げて泣き、立ち上がれない男性もいた。

 この日、会場のカザン・アリーナはカナリア色のユニホームが大勢を占めた。それに加勢したのが、中南米各国から駆け付けたファンたち。大会を通じ、欧州勢をしのぐ最大勢力となっている。

 メキシコ人のフランシスコ・ロペスさん(30)は「ラテンアメリカで唯一残っているチーム。(決勝トーナメント)1回戦でブラジルに敗れたのは悔しいけど、僕らは互いに応援し合う仲間さ」。ペルー人のルイス・アルコサさん(27)も「ウルグアイが負け、あとはブラジルだけ。負けたらW杯の楽しさが半減だよ」と応援に熱が入った。

 少し事情が違うのが隣のライバル国。メッシのユニホームを着たアンドレア・バラビクさん(24)は「アルゼンチン人はブラジルだけは応援しない」とにやり。だが別の男性は「今日だけはブラジルを応援する」とも。それほど南米最後の勝ち残りを、ラテンの熱いファンたちは願っていた。

 試合後、跳びはねて喜ぶベルギーサポーターを横目に、とぼとぼと帰路に就くブラジル人たち。4度目のW杯となったフンベルト・ゴメスさん(39)は「今日はネイマールが何もできなかった。4年後こそ優勝を見たい」と涙をぬぐった。

 中南米からのファンには、決勝までチケットを押さえてしまっている人も少なくない。ブラジル人のギラーム・ドナ=シズリンさん(27)は言った。「悲しい夜だね。ベルギーは速かった。でも仕方がない。次の試合からもW杯を楽しむよ。だって僕はフットボールのファンだから」(カザン=高野遼)