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 第100回全国高校野球選手権記念静岡大会(朝日新聞社、県高校野球連盟主催)が7日、静岡市駿河区の草薙球場で開幕した。曇り空の下、111校の選手が元気よく行進。開幕試合は、清水桜が丘が沼津商に2―0で勝った。8日は10球場で1回戦23試合がある。

笑顔絶やさず 直球勝負 沼津商・棹山廉投手

 必ずやり返す――。

 沼津商のエース棹山廉君(3年)が、そう誓った試合だった。昨年、清水桜が丘との練習試合で先発。中盤までに10失点し、降板していた。「あの試合は忘れない」

 0―0の五回裏、棹山君がロージンをたたく左手に力がこもった。1死二塁、打席に立ったのはここまで無安打の好投を見せている相手エースだった。「必ず抑える」と選んだのは、全球直球勝負。3球目、高めの球でスリーバントを失敗させた。「よっしゃ!」。だが、次打者に変化球を捉えられ、先制を許した。

 棹山君は直球に特別な思いがあった。3月の春の地区大会は直球がことごとく抜け、1回戦負け。試合後も制球が定まらなかった。

 その後の練習試合前、諏訪部利実監督から言われた。「この試合、直球しか投げるな。これはお前のための試合だ」。四球や死球を多く出しながらも、ベンチやグラウンドから仲間が励まし続けてくれた。「大丈夫! 入るから!」

 その試合をきっかけに吹っ切れ、思いきり腕を振れるようになった。球速は120キロ前半と決して速くはないが、手元で伸びる球に絶対の自信があった。

 この日もほとんど直球で勝負を挑んで八回途中まで力投し、後を杉本凌雅君(3年)に託した。0―2で迎えた九回表、棹山君はベンチから乗り出し、必死に叫んだ。「まだまだ逆転あるぞ!」。だが、1点が遠かった。

 「自分がピリピリすると雰囲気が悪くなる」とこの日のマウンドで何度も満面の笑みを見せた棹山君。試合後、捕手の阿部龍貴君(2年)とベンチ横でキャッチボールをしていると、自然と涙が出た。「まだまだ俺たち成長できたのになあ」

 どこよりも早い夏が終わった。(堀之内健史)

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