80キロ歩いたのに試合中止 バンカラ応援団熱唱し去る

加茂謙吾
[PR]

 第100回全国高校野球選手権記念岩手大会が雨天で全試合が順延になった7日、盛岡市岩手県営野球場に「弊衣破帽(へいいはぼう)」のバンカラ応援団が現れた。球場まで約80キロ北にある、福岡(二戸市)の応援団と有志の計12人だ。前日朝に学校を出発し、雨に打たれながら夜通し歩いてきたが、試合は延期に。球場前で校歌や応援歌を披露した。

 制服は破れ、学生帽もボロボロ――。12人は、予定されていた午後2時からの第3試合に合わせて、前日の6日午前8時ごろ学校を出発。休憩をとりつつ、20時間以上歩いて7日午前9時ごろに球場に到着した。途中、盛岡市の施設の協力を得て、トイレに段ボールを敷いて2時間、雑魚寝した。

 球場までの行進は必勝祈願の伝統行事。バンカラ応援団は部活でも生徒会でもない独特の活動だ。

 毎年6月の生徒会の選挙が終わった後、マイクを奪い取るようにして学年、クラスなどを名乗って立候補するのが伝統だという。そのまま全校生徒の投票を受けて「応援団幹事」が選ばれる。立候補する生徒は少なくなっているが、今年は1年生5人が加入した。

 第95代の嶋野将之団長(3年)は1年生のときに高校野球の応援や県高校総体を見て、「先頭に立って生徒たちを絶叫させる応援団の姿に憧れた」という。

 この日の試合は雨であえなく流れたが嶋野団長は「気持ちを切らさず、試合を全力で応援したい」。嶋野団長の「レディー!」という音頭で校歌や応援歌を球場前で熱唱した。団員はその後、車に乗せてもらい学校に戻った。

 福岡のこの伝統行事は、このほど最終回を迎えた漫画「ドカベン」で、主人公の山田太郎らがいる明訓高校を破ることになる岩手代表の弁慶高の選手が、岩手から歩いて甲子園にいったエピソードのもとになったとされている。加茂謙吾