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(7日、ロシア2-2クロアチア=PK3-4 ワールドカップ準々決勝)

 まさに、死力を尽くした戦いだった。

 PK戦。リードして迎えたクロアチアの5人目はMFラキティッチだった。成功すれば、4強が決まる。目を見開いて決死の形相で止めようとするロシアGKアキンフェーフに対して、ラキティッチは落ち着いていた。ゆったりとした助走でボールに近づくと、GKの動きと反対の方向に、右足で蹴り込んだ。

 勝敗の行方が決した瞬間だった。ラキティッチはGKスバシッチに駆け寄り、ほかの選手もなだれ込んだ。ロシアの選手たちはその場で動けなかった。

 両チームとも決勝トーナメント1回戦もPK戦だった。それでも延長戦に入っても、高い集中力を保っていた。ただ、クロアチアの選手たちの体は悲鳴をあげていた。後半44分には、捕球の際にGKスバシッチが右太もも裏を痛めた。どうにか試合には出続けたが、ゴールキックはほかの選手に任せる場面も。延長前半7分にはDFブルサリコが負傷交代せざるを得なかった。

 延長前半11分にCKからDFビダのヘディングシュートでいったんは勝ち越しても、延長後半に追いつかれる苦しい展開。PK戦ではスバシッチが1本止め、ロシアのミスにも助けられた。「けが人が出たが、ベンチの選手たちが穴を埋め、できることを証明した」とDFロブレンは振り返った。

 クロアチアの4強入りはワールドカップ(W杯)初出場だった1998年以来となる。苦しんだ分だけ自信は深まる。主将のMFモドリッチは誓った。「とても誇りに思う。ただ前回よりもさらに前へ、決勝に進みたい」(河野正樹

20年前の得点王も祝福

 クロアチアの4強入りは3位に入った1998年のワールドカップ(W杯)フランス大会以来、20年ぶりのことだ。当時のエースストライカーで大会得点王に輝いたFWダボル・シュケルさん(50)が試合後に取材に応じ「ブラジル、スペイン、ドイツといった優勝候補が帰国を余儀なくされる中、準決勝に進めて非常にうれしい」と語った。

 シュケルさんは現在、クロアチア協会の会長を務める。98年のクロアチア代表はMFボバンやFWプロシネツキらタレントぞろいで、初出場の日本を1次リーグで1―0で下した。一方、現在のチームもMFモドリッチやFWマンジュキッチらビッグクラブに所属する好選手がそろい、しかも献身的なプレーを欠かさない。当時に負けず劣らずの現代表が98年超えを達成するか。シュケルさんは「一歩ずつ。まずは次のイングランド戦に頑張って欲しい」と後輩たちにエールを送った。