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 タイ北部チェンライ郊外のタムルアン洞窟に閉じ込められた少年らの救出活動は9日も続き、8日の4人と合わせて計8人が脱出した。閉じ込められてからすでに2週間以上が過ぎており、家族や親類らは祈るような気持ちで全員の帰りを待ちわびている。

 ミャンマーと国境を接するチェンライ県メーサイ地区のビアンホム村。洞窟から約10キロの距離にあるこの村には、洞窟に閉じ込められた少年ら13人のうち4人の家がある。9日の朝に訪ねると、養殖池や雑木林に囲まれた家々の軒先で鶏が駆け回っていた。

 プラジャ・スタム君(14)の自宅では、親類の女性サリサ・プロマチャさん(51)がニュースを見つめていた。「スポーツが得意で、学校から何度も表彰されていた。閉じ込められる前日にも家で顔を合わせて、『変わりない?』と聞くと、『元気』と大きな声で答えてくれた。まさかこんなことが次の日に起こるなんて」と語った。

 同じくプラジャ君の親類のエイさん(65)も、「サッカーと自転車にとにかく夢中な子。早く帰ってきて、また元気におしゃべりする姿をみせてほしい」と話した。

 閉じ込められた当日の夜には、近くに住むプラジャ君の祖母が動揺した様子で駆け込んできた。両親は急いで車に乗り、洞窟に駆けつけた。少年らはよく仲間たちでお菓子やジュースを持って、洞窟探検に行っていたという。

 少年らは、閉じ込められてから9日たった7月2日に洞窟の入り口から5キロ奥で発見された。だが、洞窟には起伏が多く、雨水が数メートルたまっている場所もあり、濁った水の中を潜水して脱出しなければならない状況だ。少年らは洞窟の中で急きょ、潜水の指導を受けただけで、脱出には危険も伴う。家族らの心配は募るばかりだ。

 6日には、救助に加わっていた元タイ海軍特殊部隊員が活動中に死亡している。サリサさんは、この元部隊員の妻に電話してお悔やみを伝えたという。すると、悲しみの中にいるはずの妻は逆に「少年たちの健康状態はどうですか?」と、気遣いの言葉をかけてくれたという。

 サリサさんは「多くの人に支えられて、救出作業が進んでいることに心から感謝します。家族で励まし合って、吉報を待ちたい」。そして、プラジャ君に会ったら「ぎゅっと抱きしめたい。そして、社会に恩返しができる人間に育ってほしい」と話した。

 別の少年の祖父は「助け出してくれた救助隊を誇りに思う。今はただただ、残りの全員が戻ってくるのを待っている」と厳しい表情で語った。両親は洞窟の入り口で、救出作業を見守っているという。

 タイ当局は、救出された少年らの名前を明らかにしていないが、当局者は9日夜、「家族はだれが救出されたかは知っている」と話した。(チェンライ=乗京真知)