「獺祭」30万本廃棄へ 原料米に泥水、復旧2カ月以上
具志堅直
国内外で人気の日本酒「獺祭(だっさい)」の蔵元、旭酒造(山口県岩国市)は9日、豪雨で酒蔵施設が浸水して停電したため、一升瓶に換算して30万本の獺祭が廃棄処分になるとの見通しを明らかにした。全面復旧には2カ月以上かかり、被害額は計14億~15億円程度になると想定しているという。
記者会見した桜井一宏社長と桜井博志会長によると「本社蔵」と呼ばれるビルの前を流れる川が氾濫(はんらん)し、1階が70センチほど浸水。1階と地下室の機械や原料米が泥水につかった。電源もダウンして、発酵中だったものを含め計約50万リットルの酒の品質維持が難しくなった。「獺祭」ブランドでは一升瓶30万本程度が出荷できずに廃棄せざるを得なくなりそうだという。
同社はコンピューターと手作業を融合した厳密な温度管理で年間を通して酒造りをしている。一宏社長は「発酵のための温度管理ができなければ我々が目指す獺祭はつくれない。機械が復旧するまではその分を他のブランドに転換することも検討したい」と述べた。博志会長は「夏の災害の影響はうちでしか起こりそうもない。公的な電力ばかりではなく、自家発電などの対策も必要だ」と話した。(具志堅直)
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