拡大する写真・図版 男子シングルス4回戦、ボールを追う錦織圭=AFP時事

[PR]

(9日、錦織3―1ガルビス テニス・ウィンブルドン 男子シングルス4回戦)

 錦織は第1セットの相手のサービスゲームで、たった2ポイントしか奪えずセットを落とした。右ひじ付近の痛みを訴えて治療タイムを要求。一時は「まさか、棄権?」と不穏な空気が漂った。

 第2セットも劣勢は続く。「(相手のサーブのコースが)まったく読めなかった」。ブレークポイントすら奪えず、0―30と先行を許すサービスゲームも2度。耐え忍んでのタイブレーク(TB)突入は、むしろ御の字といえた。

 ここで流れが変わる。「もっと攻めるべきだった」と悔いを残すガルビスとは対照的に、錦織は「攻めてみようかな」とプラス思考が芽生えた。相手のセカンドサーブを踏み込んで強打し、流れをたぐり寄せる。3回戦までTBは3戦全勝の集中力をここでも発揮し、7―5で奪い返した。

 ガルビスは16強の中で唯一の予選勝ち上がりで世界ランキングは138位。今季の主戦場は下部ツアーで、4月以降、471位、382位、206位、161位の選手に敗れていた。

 しかし、俗に言う「格下」ではない。自己最高位は10位でツアー優勝も6回。今大会は世界3位のA・ズベレフらに3試合連続のフルセット勝ち。逆境をくぐった者の無欲の快進撃は、やはり侮れなかった。

 第3セットもTBにもつれた。5―2と錦織がリードした局面でガルビスが転倒して左ひざを痛めた。テーピングで固め、2度のセットポイントまでこぎつける粘りを見せたが、それが最後の抵抗。もう俊敏に動くことはできなかった。錦織が12―10で奪い、第4セットも制して3時間29分の死闘に終止符を打った。

 「芝の聖地」で初の8強入りを決めた錦織は「一つのゴール。今までこの壁を破れなかったので、うれしい気持ちもある」。一方、4大大会8強はもう8度目になる。「優勝するためにはここからタフな戦いが続く。安心もしていられない」。通過点だと、自らに念押しするのも忘れなかった。(稲垣康介)