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 第100回全国高校野球選手権記念山梨大会(朝日新聞社、県高野連主催)の2回戦5試合が10日、甲府市の山日YBS球場と富士吉田市の北麓(ほくろく)球場であり、今大会初の延長戦で、甲府工がシード校の駿台甲府にサヨナラ勝ちした。シード校の都留と日本航空は3回戦に勝ち進んだ。11日は山日YBS球場で3試合と、北麓球場で2試合の2回戦計5試合が予定されている。

エースの誇り 涙見せず 駿台甲府・荘司宏太投手

 力いっぱい投げた直球が外れた。延長十一回裏。2死一、三塁となっても、駿台甲府の荘司宏太投手(3年)は次の打者だけに集中した。あと1人打ち取ればいいからだ。

 「お前のストレートは誰にも打たれない」。1年からバッテリーを組む森本龍司捕手(3年)はこの日、マウンドに来ると荘司に声をかけ、自信をもって投げろと発破をかけた。

 「最後」の一球。荘司は腕を振り、直球を投げ込んだ。しかし、ボールは森本のミットに収まらず、音を立ててバックネットに当たる。その間に三塁走者がサヨナラの本塁を踏んだ。

 県内屈指の左腕、荘司。しかし、昨年の夏と秋、今春と東海大甲府に敗れた。「一球の重みを感じてきた」。球速、キレともぐんと成長し、夏を迎えた。

 両エースが一歩も引かない投手戦は、今大会初の延長戦となった。荘司は九回を過ぎると疲れを感じ始めた。「あとは気持ちだな」。勝利への強い思いを胸に投げ続けた。

 幕切れは予想外の形だった。荘司の投球が後ろにそれる。「ファウルか捕逸か」。球場中が審判員の判断をかたずをのんで待つ。勝利を確信し、一列に並ぶ甲府工の選手。駿台甲府の選手は守備位置を動かなかった。

 判定は「捕逸」。「負けたのか」。泣いて悔しがる仲間を見て、ようやく敗北を受け止めた。「エースらしく、僕は涙を見せません」。少し声を震わせながら、荘司はやり切った表情で前を向いた。(市川由佳子)

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