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(10日、大相撲名古屋場所)

 負けん気と、勝負をあきらめない執念。加えてスタミナ。千代の国の高安戦初白星には、普段の稽古の成果が詰まっていた。

 立ち合いから激しい突き合いになったが、下から押し上げた。右上手からの投げや突き落としで崩す。だが、大関に左を差されて攻めが止まった。そこで勝敗を分ける場面がきた。

 大関の下手投げに振り回され、股裂き気味に足が流れる。尻から落ちたり、手をついたりしてもおかしくない。高安は力を抜いた。それでも千代の国は「まだ、まだと思った。稽古で結構残っていた」。持ち直して最後は投げの打ち合いで勝利。満員の館内を沸かせた。

 場所前は、横綱稀勢の里に食らいついていく姿が光っていた。一時はけがで三段目まで転落したが、復活を支えたのも激しい稽古。先代師匠、元横綱千代の富士の「自分を追い込む稽古をやるしかない」との教えを忠実に守っている。

 準ご当所の三重県伊賀市出身。先場所自己最多の12勝を挙げ、初の敢闘賞を受賞した。実はこの日は28歳の誕生日。昨年結婚した妻からのプレゼントは「とくに(ありません)」と照れたが、自ら祝った形だ。

 勝負を見ていた阿武松審判部長(元関脇益荒雄)がいう。「今までなら全然通じなかったと思うが、力をつけた。大関の攻めを正面からしのいで、正々堂々と勝つ力士はそうはいない」

 主役を脅かす脇役の活躍が土俵を盛り上げている。(竹園隆浩)

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