[PR]

 高校野球の岩手大会で10日、初戦の2回戦に5―4で勝ち、春夏連続の甲子園へ向けてスタートを切った花巻東には、学校設立以来初という東大進学を目指す部員がいる。大巻将人(まさと)(3年)だ。今春の選抜、今夏のベンチ入りこそならなかったが、選抜では「仲間からの信頼が厚い」と、開会式の入場行進でプラカードを持つ役を任され、甲子園の芝生を歩いた。「夏が終われば完全に勉強に切り替えますけど、それまでは野球。もう一度甲子園に行きたい」とスタンドから声援を送る。

 盛岡市の北にある岩手町出身。中学時代は学年トップの成績で、県内随一の進学校である盛岡一も合格圏内だった。それでも、「小さい頃から甲子園を目指していた。野球がしたくて」と花巻東へ進学した。

 「全国制覇」を目標に掲げる花巻東の練習は厳しく、終了が夜9時を過ぎることも。それでも、東大合格を目指し、練習後には毎日約2時間、寮の自室でノートを開いた。

 頑張りに応えようと、学校側は2年時から、通常は2~4人部屋の寮で大巻だけ1人部屋にして、勉強に集中しやすい環境を作った。異例の扱いだが、日頃の努力を見ている仲間からは何の不満も出なかった。

 今春の東北大会では背番号7でベンチ入りしたが、今夏はメンバーから外れた。しかし、「最後まで仲間と一緒に頑張りたい」と、6月以降も主に練習の準備と片付けを手伝い、メンバーが練習をしている時間はユニホームを着たまま、バックネット裏にある放送室で自習をする。練習する仲間たちからは、その姿が見える。

 「練習も勉強も本当に一生懸命にやる子なんです」とは野球部の流石裕之部長。部長によると、1982年の学校発足以来、東大に進学した生徒はいない。テスト前になると大巻から勉強を教わるという主将の菅原颯太(3年)は「大巻は自分に対してストイック。この夏も試合に出たかったと思うので、大巻の分も自分たちが頑張る」。

 そんな仲間が安打を打つたび、得点が入るたびにスタンドで跳びはねた大巻は「甲子園は他の球場とはひと味違った。ベンチに入れないたくさんの部員の気持ちも背負って、戦ってほしい」と思いを託した。=岩手県営(山口史朗

こんなニュースも