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 岐阜県郡上市のひるがの高原キャンプ場で2009年7月、愛知県常滑市立常滑西小学校5年だった下村まなみさんが学校行事中に行方不明になり、24日で9年になる。来年1月に20歳の誕生日を迎えるが、有力な手がかりは得られていない。家族はまなみさんの帰りを待ち続けている。

 「買い物に行くと、すぐに疲れてしゃがみ込む子。いつもなら甘えるところを、かなり頑張って歩いたのだと思う」と母の益代さん(52)は話す。

 2泊3日の予定で訪れた5年生85人の野外教育活動の2日目。7月24日午前8時ごろ、その夜に計画された肝試しのコースの下見中、キャンプ場の一番奥付近で、グループ3人に少し遅れて歩くまなみさんの姿を校長が見たのが、最後の目撃情報となった。

 まなみさんはダウン症で、特別支援学級で学んでいた。計算は苦手だったが、話すことは大好き。ドラマのせりふをすぐに覚えた。長時間、勉強を続ける集中力があり、やりたいことを最後までやり抜く意志の強さもあった。料理で包丁を上手に使えたという。

 「聞き分けは良く、友達とも仲良し。怖がりで、草むらの中を一人でどこかへ行ってしまう子ではなかった。誰も責められない」

 益代さんは、まなみさんが使っていた漢字練習帳や作文集、キャンプの小冊子などを大切に持っている。ピンク色の七夕の短冊には「かんごしさんになりたい。下村まなみ♡」。看護師は益代さんの職業だ。

 自宅の庭では祖母の陽子さん(77)が、プランターのフウセンカズラの世話をしている。まなみさんは小5の時、学校で鉢植えにして育てていた。09年6月8日に描いたフウセンカズラの絵は葉を何枚も出し、「めちゃめちゃすごくうれしかったでーす」と鉛筆で書いていた。

 「今年も植えたよ。花を見に帰っておいでね」。手入れをしながら、陽子さんはフウセンカズラに話しかける。秋にとれる種を翌春にまく。毎年、繰り返してきた。

 まなみさんは3姉妹の末っ子。お下がりばかりではかわいそうだと、陽子さんが夏祭り用に贈った新品の浴衣も、袖を通す機会はまだない。「毎年、出したり入れたり。でも、もう大きくなっているはずだね」。頭の中では、いつまでも小5の姿のままだ。

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 岐阜県警によると、記録が残る11年以降だと、延べ5500人の警察官が捜査や情報提供を求める活動などに携わった。最近、県警に寄せられた情報は16年に6件、17年は1件にとどまり、有力な手がかりは得られていないという。

 まなみさんの家族は常滑市教育委員会や岐阜県警などとともに、キャンプ場周辺の捜索活動を16年まで続けた。情報提供を求めるティッシュ配りは年2回、JR岐阜駅周辺と東海北陸道ひるがの高原サービスエリア(SA)で続けている。22日も同SAで配る予定だったが、豪雨災害に配慮して延期した。まなみさんに関する情報は、常滑市教委学校教育課(0569・35・5111)へ。(豊平森、吉川真布)