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 「5カ月間、生理がありません。どうすればいいのでしょうか」

 7月8日、前橋市の正田醬油スタジアム群馬であった障害者陸上のジャパンパラ大会。競技場内に設けられた「女性アスリート相談窓口」に、女子1500メートル(知的障害T20)に出場した女子選手(23)が相談に訪れた。

 管理栄養士の鈴木志保子さん(神奈川県立保健福祉大教授)は食事での摂取エネルギー量より、運動で消費するエネルギー量が多いのでは、と指摘。女子選手の生活環境に合わせて、練習前後にゼリーなどで不足分のエネルギーを補給することを勧めた。

 女子選手は「一人で悩み、不安だったけど安心できました」と話した。2日間に渡った大会期間中、無月経や体重増加の悩みなどで14人がこの相談窓口を訪れた。

エネルギー不足が原因

 2020年東京五輪・パラリンピックを2年後に控え、女性アスリートの強化とともに、競技に影響を及ぼす無月経などの健康問題に支援の輪が広がっている。こうした女性特有の健康問題は、障害の有無にかかわらない。この「相談窓口」は、日本パラリンピック委員会(JPC)が昨春立ち上げた、女性スポーツ委員会の取り組みだ。

 「利用できるエネルギーの不足」「無月経」「骨粗鬆症」。この三つは選手や指導者が注意しなければならない「女性アスリートの3主徴」といわれる。利用できるエネルギーの不足が発端となり、無月経を引き起こし、疲労骨折などのリスクが高まるケースが多い。

 JPCが2016年リオパラ大会に出場した女子選手46人のうち44人に行った調査では、生理がきていても、その7割が「生理痛で競技に影響が出ている」と回答した。対策をとっている選手は27%にとどまった。

 五輪を目指す選手と比べてパラアスリートの間では、ピルを使って月経を移動させるなどの「月経対策」の浸透は遅れている。

 「体のどこかが痛くて当たり前。よりよいコンディションで試合をするという意識が薄かった」と同委員副委員長の桜間裕子さん。女性スポーツ委員会の設置後は、栄養学やスポーツ医学など多角的な情報をもとに、選手支援に取り組んでいる。

痛みを我慢しないで、相談を

 「相談窓口」では、陸上や水泳のジャパンパラ大会で、管理栄養士や障害者スポーツ医の資格を持つ医師らが選手の悩みに耳を傾ける。手足の切断や頸椎(けいつい)損傷など選手の障害が違っても、それぞれの専門知識を生かして選手個々の悩みに応じた対処法を探る。

 鈴木教授は「こうした機会を通じて我慢してきた痛み、症状は解決できるんだということを示していきたい。選手たちにはもっといいコンディションで試合に臨めるんだ、ということを分かって欲しい」と話す。(榊原一生)