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 西日本豪雨で避難所生活が長引くにつれ、懸念されるのが、高齢者ら災害に弱いとされる人たちの「災害関連死」だ。復興庁によると、東日本大震災の関連死は約3700人にのぼり、9割近くが66歳以上。どう防げばいいのか。

 神戸協同病院の上田耕蔵院長は、災害関連死が起きる仕組みを次のように説明する。

 災害による精神的ショックと過酷な避難生活は、交感神経を緊張させる。血圧も上がり、脱水症状も相まって血液粘度が上昇。脳卒中や心筋梗塞(こうそく)を起こしやすくなる。避難生活であまり動かずにいると、ふくらはぎなどの血管内にできた血の塊が肺の血管に詰まって起きるエコノミークラス症候群になる恐れがある。

 東京都健康長寿医療センターの桑島巌医師が、暑くなるこれからの時期に重視するのが水分摂取だ。「高齢者はのどが渇いているという自覚症状が薄れがち。高齢者や病気のある人に優先的に飲み物を渡してほしい」と話す。

 ふだん使っている薬を服用しないことも、体調悪化を招く。自宅から薬が持ち出せなかった場合などは、避難所運営スタッフや巡回する医師に相談するといい。

 血栓予防には体を動かすことも大切という。「特に下半身の運動を」と桑島さん。30分おきに屈伸を10回することが望ましいが、難しければふくらはぎをもむだけでもいいと話す。

 日本循環器学会は10日、災害関連死を予防するための「心得」をHP(http://www.j-circ.or.jp/別ウインドウで開きます)に掲載した。

 それによると、①アイマスクや耳栓の使用などによる睡眠の改善②1日20分以上の歩行③水分の十分な摂取による血栓予防④減塩や野菜、果物、海藻類の摂取⑤体重の増減を2キロ以内に⑥マスク着用や手洗いによる感染症予防⑦内服薬の継続⑧血圧の管理⑨禁煙――の9点。日本心臓病学会、日本高血圧学会とともに2015年につくった指針から抜粋したものだ。

 上田さんは「自分からは不調を訴えない高齢者もいる。避難者同士で声をかけあい、体調が悪い人を自治体などにつないで欲しい。自治体にも見つける努力が必要で、福祉施設や病院などに移ってもらう必要がある」と話している。(田中陽子、長富由希子)