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 奈良文化財研究所(奈文研、奈良市)が、遺跡から出土する木簡の削りくずを保管する専用容器を新たに開発した。削りくずは文字の書かれたかんなくずのような薄片で、古代木簡の約8割を占めるとされる。量が多いうえ、薄くて弱いため保管方法が課題だったが、酸性化など劣化の生じる恐れがない無酸の中性紙を導入して実用化させた。「奈文研紀要2018」で発表した。

 容器は幅219ミリ、奥行き154ミリ、厚さ12ミリの薄い直方体。本体に薄い中性紙を約60枚重ねたクッションを敷き、その上に削りくずを置く。さらに薄い中性紙1枚をかぶせ、ふたをとじることで固定する。容器を20個収納できる箱もつくった。美術品の保管容器などを製作するラーソン・ジュール・ニッポン(本社・東京都)と共同開発した。

 これまでは削りくずをフィルムなどで挟んで保管してきた。だが、フィルムの劣化などに悩んできた。

 古代の役人らは木簡に筆で文字を書いた後、小刀で表面を削って再利用したとみられる。奈文研が保管する木簡約28万点のうち、約23万5千点が削りくずだ。

 奈文研の渡辺晃宏副所長は「削りくずの文字が歴史の見方を変えることもある。しっかり保管することで、じっくり情報を引き出せる。全国の研究機関でも使って欲しい」と話す。(宮崎亮)