[PR]

 大会3日目の11日、高松市のレクザムスタジアムで3試合があり、シード3校が初戦に臨んだ。大手前高松は多度津に逆転勝ち。英明は坂出に、寒川は飯山に、いずれもコールド勝ちした。12日は丸亀市のレクザムBP丸亀で3試合がある。

初ヒットで恩返し 多度津・清水大輝選手

 二回2死一塁。多度津の7番打者で右翼手、清水大輝(3年)は目の前の投手をにらみつけた。

 「先制点を取ってやる」。真ん中に入った直球は、振り抜くと正面に転がった。「抜けろ、抜けろ」。ボールは投手の足元を抜け、センター前へ。チームの初ヒットになった。

 この一打で波に乗った。次打者が安打で続き、二塁へ。失策の間に三塁走者とともに本塁を突き、2点目となるホームイン。歓声を聞きながら、ベンチでハイタッチを交わした。

 所属する海洋技術科は、実習船「香川丸」で遠洋に出る実習がある。今年1月から約2カ月間。乗船中は電波が届かず、チームと連絡は取れない。もちろん、バットも振れない。狭い船内で、スクワットなど下半身のトレーニングをひたすら繰り返した。

 船を下りたら、春の県大会はもう目の前。冬場の練習で実力をつけたチームメートたちとの差は、はっきりしていた。スタメンに選ばれず、悔しい気持ちでベンチから見守った。

 「死ぬ気でがんばれ」。監督や仲間が、何度も励ましてくれた。夏までに何とか追いつきたかった。打撃の要になりたくて、誰よりも多くバットを振り、ノックを受け続けた。

 数カ月後、背番号「9」を受け取った。うれしかった。同時に、ブランクのあった自分を支えてくれた人たちに、恩返しがしたいと思った。

 対戦した大手前高松は、自分がスタメンで出られなかった県大会で優勝した。それを相手に、流れを引き寄せる立役者になれた。チームは無失策。敗れたが、「みんなと全力で挑み、先制点を取った。誰も途中であきらめなかった」。まだ夏だが、忘れられない一年になりそうだ。(福井万穂)

こんなニュースも