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 ビール、発泡酒、第3のビールを合わせた「ビール系飲料」の2018年1~6月の出荷量は、上半期としては6年連続で過去最低を更新した。昨年強化された安売り規制の影響で小売価格が値上がりし、「ビール離れ」に拍車をかけた。

 ビール大手5社が11日発表した出荷量は、前年比3・6%減の1億8338万ケース(1ケースは大瓶20本換算)。ビールが6・3%減、発泡酒は8・4%減。一方、割安で人気の第3のビールは1・9%増と5年ぶりに前年を超えた。

 酒税法改正でビール系飲料の安売り規制が強化されたほか、各社は3~4月に業務用ビールを値上げ。ラーメンチェーン「日高屋」は昨年、生ビールを20円値上げし、焼き鳥店チェーンの「鳥貴族」も生ビールを含む全品均一価格を18円上げた。「飲食店では、ビールよりもハイボールやチューハイが飲まれるようになった」(キリン)とみる。

 第3のビールが増えたのは、キリンが製造を受託したプライベートブランド(PB)の存在が大きい。キリンは6月から流通大手のイオンから「バーリアル」を受注。従来は海外メーカーが製造していたため、今回初めて出荷量に含めた。バーリアルは350ミリリットルの缶が税込み84円と一般的な第3のビールよりさらに安い。イオンリテールによると、年間販売目標が1700万ケース(350ミリリットル缶24本と500ミリリットル缶24本の合計)で、キリンへの変更後は前年同月比で売り上げが2割伸びたという。

 メーカー別のシェアにも第3のビールが影響し、アサヒが37・6%で首位を守ったが、キリンは自社ブランド「本麒麟(ほんきりん)」の好調もあって前年同期を2・3ポイント上回る34・0%と、首位との差を詰めた。サントリーも高アルコールの第3のビールが好調で過去最高の16・3%だった。

 キリンがPBを出荷量に加えたことに対し、販売でしのぎを削る他社からは「小売業者が開発した商品だ」として当初は異論もあったが、PBも含めることで各社折り合いをつけた。ただ、PBを除くと、第3のビールも前年割れだったとみられ、市場の縮小に歯止めはかかっていない。

 PBの出荷量が増加することに、各社は警戒感を強めている。節約志向の高まりで安定した出荷量が見込める半面、メーカーは自社の利益が高い製品が売れなくなるためだ。サントリーホールディングスの新浪剛史社長は「付加価値の高い商品を提供することが必要。価格競争に行くのは好ましくない」と話している。(長橋亮文)