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 性暴力被害に遭った人がいつでも相談でき、医療的なサポートも受けられる施設を静岡県が今月開設した。女性相談員が電話で対応。必要な場合は病院への同行なども行う。相談しやすい体制や雰囲気を整え、被害を打ち明けにくいとされる性暴力被害者の救済につなげていく。(宮廻潤子)

 県は新設した性暴力被害者支援センターを「Shizuoka One―Stop Recovery Assistance(SORA(そら))」と命名した。心理カウンセラーなどの資格を持つ約20人の女性相談員が在籍。相談員が警察や病院にも同行し、被害者に代わって被害内容などを伝えることも可能という。

 県くらし交通安全課の大村彦彰課長は「被害者は、警察など多くの機関で何度もつらい体験を話さなければならない。それが被害を訴えられない人を増やしている」と指摘。こうした二次的な被害を防ぐことを目的としている。

 SORAに来れば、各自が必要とする様々な支援につなげられるワンストップ体制を整えた。産婦人科などの「身体的ケア」、精神科などの「心理的ケア」のほか、弁護士や警察の窓口へもつなげる。緊急避妊が必要な場合の産婦人科受診といった身体的ケアは、県が費用を全額負担。カウンセリングなどの心理的ケアは、初診から1年間の期限付きで1人当たり6万7200円まで県が費用を負担する。これらの経費として今年度当初予算に1950万円を計上した。

 センターで受け付ける相談内容は、強制わいせつや強制性交といった性犯罪だけでなく「性暴力」、本人が望まない性的な行為全てを指し、過去に受けた被害でも相談の対象になる。施設の場所は県中部。出入りする被害者の匿名性や安全を確保するため、詳細な住所は非公開としている。

 被害者に寄り添ったサポートが実現したものの、全国的に見れば、県の支援施設の開設は遅れていると言える。都道府県による同様の支援施設の開設時期を比べると、静岡県は全国で45番目となる。県では2014年から県警と県産婦人科医会などが連携して支援してきたが、同課の三保広真課長代理は「性暴力はデリケートな問題。より効果的に支援できるよう体制を整えた」と説明する。

ためらわず、相談だけでも

 性暴力を受けた人は、多くが被害を警察に届けるのをためらうため、被害が表面化しにくいとされる。県はその理由として、①犯行が密室で行われる②家族など顔見知りの犯行で、相手が逮捕されると自分の生活に支障が出る場合がある――などを挙げる。

 法務省の調査によると、2013年から昨年までの5年間、全国、県内ともに性犯罪の認知件数はわずかに減る傾向にある。12年の国の報告では、窃盗被害に遭った個人の34・8%が被害を届け出たのに対し、性犯罪の被害を届け出た女性は18・5%。昨年の県内の性犯罪認知件数は166件だったが、実際には年間900件近い性犯罪が発生していると県は推計する。

 範囲を性暴力に広げても同様の傾向が見られる。今年3月に内閣府が公表した調査では、異性から無理やり性交された経験のある女性のうち半数を超える58・9%が「誰にも相談しなかった」と回答した。「恥ずかしかった」「自分さえ我慢すればいい」「思い出したくなかった」といった理由が挙げられたという。

 三保課長代理は「警察に被害を届け出たくはないが、体のケアをしてほしいといった場合でも利用できる」などとして被害に遭った場合の活用を呼びかけている。電話相談は054・255・8710へ。24時間、無休で相談に応じる。

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