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 音や映像は、遠く離れていても再現できます。同様に「におい」も再現できないかという研究が今、進められています。ネットショッピングでも、香りを確認して香水を購入できる。そんな時代が当たり前になるかもしれません。

 横浜市緑区の東京工業大すずかけ台キャンパス。5月、文化祭でにおい付きの電子ゲームが体験できると聞いて、多くの親子連れが同大未来産業技術研究所の中本高道教授(58)の研究室を訪れていた。中本研究室は、においの再現に取り組んでいる。

 パソコンの前で、小学4年の男の子(9)が手元のリモコンを動かす。迷路を通りながら、「カシス」や「オレンジ」の絵などが描かれた風船を次々と割る。奥にあるカウンターにたどり着くと、割った風船に描かれた果物がブレンドされたジュースが画面に出てきた。

 男の子の前には、パソコンにつながれたクリーム色の箱。その上に試験管のようなガラス瓶8本が並び、それぞれチューブで箱とつながる。

 瓶の中に入っているのはフレーバー(香り)だ。パソコンから送られてきた、割った風船のデータをもとに、自動でフレーバーを配合してジュースの香りを作り出す。「どんな香り?」。見守っていた学生が声をかける。男の子は「割った果物全部のにおいがした!」。

 色なら、色の「もと」である赤、黄、青の3原色の組み合わせで自由に表現できる。

 では、においは?

 中本教授は「においは、『もと』がいくつなのか、実はまだ見つかっていない」と言う。においは鼻の奥、嗅(きゅう)細胞にある「嗅覚(きゅうかく)受容体」が感知する。ヒトの受容体は約400種。だが、それと同数の「においのもと」を即座に配合する装置を作るのは工学的に難しいという。「できるだけ少ない数にするのが肝。似ている『においのもと』を割り出して減らし、限られた種類の組み合わせで多様な香りが表現できれば」と言う。「今のところ、数十あれば、ほとんどのにおいの再現が可能だと考えている」

 においを再現する上で難しいのが、そのにおいが、どんな「においのもと」で構成されているかを即座に分析し、データ化すること。遠く離れた場所のにおいをリアルタイムで表現するのであれば、欠かせない技術になる。

 においのデータがリアルタイム…

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