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(11日、クロアチア2―1イングランド ワールドカップ準決勝)

 勝利への道は極めて細かった。

 立ち上がり5分。クロアチアはモドリッチの反則で与えたFKから失点した。ゴール前で壁に入っていたモドリッチが天を仰ぐ。この時点で、先制点を手にして逃げ切るゲームプランは崩れた。

 クロアチアは一発勝負の決勝トーナメントに入って、1回戦、準々決勝とここまで2試合連続で延長120分を戦い、神経戦のPK戦をくぐり抜けていた。

 「疲労は言い訳にしたくない。問題ない」。ダリッチ監督の言葉が強がりだったことは、選手の動きから明らかだ。細かいテクニックを誇る選手たちがイージーミスを繰り返している。

 それでも、自らを追い込むように丁寧にパスをつなぎ、走った。「決して諦めないのが我々の国民性だ」といったのはダリッチ監督。ボールの争奪に傾ける伝統の闘志が疲弊した体を突き動かした。

 じわじわとゴールに迫る回数を増やしていた後半23分の右クロス。DFが頭でクリアする寸前に、長い距離を走ったペリシッチが左足をねじ込むようにして同点。息を吹き返した。

 延長後半4分の決勝点は、マンジュキッチが左足で流し込む巧みなシュートの前に、やはり粘ったペリシッチが頭でボールをつないでいる。時間の経過とともにミスを減らし、ゲームをコントロールしたことが終盤の攻勢を引き出した。

 旧ユーゴスラビアから独立し、初出場で3位になった1998年大会以来の準決勝を突破した。決勝で勝てば、東欧から初めての王者が生まれることになる。「我々は決勝に値するチーム。でも、日曜日までに休息と準備が必要だ」。モドリッチがにこにこと笑っていた。(潮智史

延長戦3連勝は初

 クロアチアは、決勝トーナメントに入って1回戦のデンマーク戦、準々決勝のロシア戦をともに延長の末にPK戦で制し、準決勝のイングランド戦も延長勝ちと、3試合連続で延長を戦った。現在のように16チームによる決勝トーナメントになった1986年メキシコ大会以降、3試合連続の延長は、90年のイングランドに続く2例目で、3連勝は初。90年のイングランドは準決勝で西ドイツに敗れ、3位決定戦でもイタリアに負けた。86年大会で4位になったベルギーと2014年大会で準優勝のアルゼンチンは決勝トーナメント4試合中3試合で延長を戦った。