天皇、皇后両陛下は12日、皇居の野蚕(やさん)室で、「天蚕(てんさん)(ヤママユ)」の繭を収穫した。皇后さまが毎年取り組んできた養蚕の作業の一環で、この日で全ての作業を終えた。来年の代替わり後は新皇后となる雅子さまが引き継ぐ。

 両陛下はクヌギの葉についた緑色の繭を、ハサミで枝ごと収穫。背丈よりも高い枝にも手を伸ばし、約20分間、繭を集めた。養蚕は歴代皇后が受け継ぐ役目だが、天蚕の繭の収穫は、天皇陛下もほぼ毎年一緒に楽しんでいるという。

 皇室の養蚕は明治時代からの伝統で、皇后さまは1990(平成2)年に香淳皇后から引き継いだ。在来種「小石丸」の繭からできる糸は様々な文化財の復元に役立てられ、今年収穫された繭も15キロを糸にして正倉院に贈り、「螺鈿(らでん)紫檀(したんの)五絃(ごげん)琵琶」という楽器の弦の復元に使われるという。

 宮内庁関係者によると、皇室の養蚕が文化継承に役立てられることについて、皇后さまは「とても恵まれたこと」との思いを持ち、養蚕に携わったことに感謝しているという。