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 神奈川大会は12日、1回戦21試合があった。小田原球場では、横浜商が12奪三振でノーヒットに抑え、コールド勝ち。保土ケ谷球場でも、星槎国際湘南が9安打7得点でコールド勝ちした。横須賀スタジアムでは延長戦の末、南が大船に競り勝った。雨の影響で1試合がノーゲームとなり、13日は11球場で1、2回戦23試合がある。

「大切な居場所」作れた 田奈・岩崎選手

 「よっしゃあ!」。田奈・横浜旭陵の連合チームの三塁コーチの岩崎恵次郎選手(田奈3年)が叫んだ。初回、四球を選んだ先頭打者秋田海実(かいみ)選手(同2年)が二盗を決めると、金沢蓮主将(同3年)が落ち着いてバントを決め、1死三塁の好機を作った。続く打者が倒れ、先制はならなかったが、早々の好機にスタンドも沸き立った。

 岩崎選手と金沢主将の同級生はもともと4人いた。昨年9月、不祥事があり、2人が退部になった。そんな時、田奈の渡辺陽介監督(36)は「野球、続けたいか?」と岩崎選手に尋ねた。「続けたい」と即答した。

 渡辺監督は、下級生の部員にも声をかけ、少しずつ部活を再開させた。なんとなく気まずい雰囲気が漂っていたが、岩崎選手は「また一緒に野球をやろう」と金沢主将に声をかけた。金沢主将は、「すごくうれしかった」。

 再開後、部員らは体育館の吹き抜け、トイレの掃除をするようになった。体育祭の準備も率先して手伝った。役割ができて、頼りにされることが増えた。道具を買うために、部員全員でチラシ配りのアルバイトをした。練習の最後に皆で輪になって、納豆ご飯を食べた。2人にとって、野球部が、いつの間にか、大切な居場所になっていた。

 この日は七回コールドで敗退。岩崎選手は打席に立つことなく最後の夏を終えた。

 だが、金沢主将は、岩崎選手の大きな声に何度も勇気づけられた。金沢主将は、「岩崎がいなかったら、ここに立つことはできなかった」。岩崎選手は、あふれる涙がこぼれないように上を向き、声を絞り出した。「つらいこともあったけど、仲間と一緒だから、乗り越えられた」(鈴木孝英)

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