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 西日本を中心とする豪雨災害で、被災した市町を支援するパートナーの自治体を決め、応援職員を派遣する「対口(たいこう)支援」の枠組みが広がっている。総務省によると今年4月から全国運用が始まり、今回が初の活用だ。被災した15市町を19都県市が支援している。

 「対口」は中国語で「ぴったり合う」を意味する。2008年の中国・四川大地震で、中央政府が大都市などに支援対象の被災地を割り当てたのが「対口方式」と呼ばれた。

 総務省公務員課によると、16年の熊本地震で、九州地方知事会が被災市町村ごとに支援する自治体を定める「対口支援」方式を導入。必要な人員を迅速に派遣できたことなどから全国的な運用を決めた。

 全国版の対口支援では、都道府県や政令指定都市が支援役となる。今回の豪雨災害では9日に広島県で調整会議が開かれ、総務省や被災した県、支援側の県などが出席し、組み合わせを決めた。

 岡山県総社市のパートナーに決まったのは仙台市。東日本大震災のときの支援をきっかけに、交流が続いていた。仙台市危機管理室などによると、総社市は、震災で親を亡くした宮城県内の子どもたちを支援する「そうじゃ・宮城っ子基金」を創設。互いの市民マラソン大会に中学生を招待し合う交流も生まれた。

 今月7日、豪雨に見舞われた総社市の市長から毛布を頼まれた仙台市長は、その日のうちに毛布約3千枚とアルミシート約6千枚などを発送。職員4人が総社市に向かった。その後、総務省などの調整会議で正式に対口支援のパートナーに決定。今は職員5人が罹災(りさい)証明書発行のための体制づくりなどをサポートしている。仙台市の原孝行・危機管理課長は「震災後に支援に取り組んでいただき、ご縁がある。我々が持っているものを伝えることができたら」と意気込む。

 福岡市は岡山県倉敷市のパートナーとして職員50人を11日から派遣している。派遣職員の半数は熊本地震や昨年の九州北部豪雨の被災地に派遣された経験をもつ。倉敷市では真備町地区が冠水し、多くの市民が避難所生活を送る。避難所の運営サポートや市役所の支所の支援が求められている。

 福岡市防災・危機管理課は「避難所の運営が必要になるほどの大規模災害は、そう頻発しない。ニーズに合わせて息の長い支援をしたい」と話す。

 熊本地震で被災地となった熊本市は、川が氾濫(はんらん)した愛媛県西予市のパートナーになった。熊本市危機管理防災総室は「恩返しです」。職員24人が避難所運営のために派遣され、保健師ら5人も市内を巡回している。熊本市の担当者は「まずはケア。被災した者だからわかることもあると思う」と話す。

 西予市の担当者は「西予市の職員はローテーションを組んで避難所で対応しているが、心身ともに疲弊がきている。職員が増員されることで、避難者への目配りが行き届きやすくなる」と歓迎する。

 静岡県と静岡県内の5市から支援職員の応援を得た広島県呉市の沢村直樹・総務部長は、「災害直後ということもあり、どの分野でも、とにかく人手が足りない。支援は本当にありがたい」と話した。

 広島県坂町には、総務省や消防庁で研修を受けた「災害マネジメント総括支援員」を含む職員10人が川崎市から送り込まれた。坂町の山中裕之副町長は「地元自治体だけだと、どうしても視野が狭くなる。危機管理のプロが客観的な視点からの助言や、県や国との調整をしてくださり、助かっている」と話す。(荻原千明、高木智也、高橋俊成)