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 名古屋市が進める名古屋城天守木造化に必要な文化庁の許可が、当初想定していた今秋に得られないことが確実になった。13日にあった城の石垣保全に関する市の有識者会議が市の調査結果を了承しなかったため。許可は早くても来春以降になる見込みで、市が掲げる2022年末の完成にも影響する可能性がある。

 文化庁の許可を得るには、市の有識者会議「石垣部会」が、市の石垣調査結果を了承する必要がある。市は13日の部会で了承を得て今月中に文化庁に報告し、10月にも開かれる文化審議会で木造化の許可を得ることを見込んでいた。

 この日の石垣部会で、市は昨年度から行ってきた天守台石垣の調査結果を報告。地震時の安全性について、一部の石垣を「やや不安定」と説明した以外は目立った懸念を示さなかった。これに対して部会の専門家からは「現状は極めて不安定」「早急に追加調査をすべきだ」など、調査の不十分さを指摘する意見が相次ぎ、了承に至らなかった。石垣部会の千田嘉博委員(奈良大教授)は「石垣の安全性は危機的状況。これまで(部会が)指摘したことが反映されず、百八十度違うことが書かれている」と市の報告を批判した。

 市は石垣部会の了承を得られないまま、この日の指摘を反映させた資料を作成して今月中に国に提出する構えだ。だが文化庁の担当者は朝日新聞の取材に「専門家の多くが石垣に不安があると指摘しているのなら、解決してもらう必要がある」と、現状での審議入りは難しいとの見解を示している。

 名古屋市の河村たかし市長は部会後、記者団に「(石垣部会との)齟齬(そご)なんて全然あらせん」「とにかく精いっぱいやる」と述べ、なおも今秋の許可を目指す姿勢を示した。(関謙次)