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 選抜王者・大阪桐蔭への挑戦権をかけた戦いとなった13日の北大阪大会1回戦、四條畷―関西創価。公立校の四條畷が我慢比べに持ち込み、競り勝った。

 スコアボードに「0」が並ぶ。関西創価の下手投げのエース浪越悠太(3年)は六回まで被安打2。対する四條畷の先発・坂井達哉(2年)は毎回走者を背負った。与四球は6個。いつ崩れてもおかしくない状況なのに、無失点が続く。救っていたのは、仲間の守備と声だった。

 二回、1死一、二塁のピンチ。鋭い打球を二塁手奥田菖斗(あやと)(3年)が丁寧にさばき、併殺に仕留める。五回1死一塁では右前安打されたが、三塁に向かう一塁走者を右翼手窪田陽介(1年)が正確なワンバウンド送球で刺した。何よりも、走者が出るたびに内野陣がマウンドの坂井を励ました。

 平日の練習時間が約1時間半の四條畷は「府内で最も声を出すチーム」の一つと言われる。「短い時間なんだから、しょぼくれてても意味ないでしょ。元気にやらないと。あと、技術がなくても声が出れば、不思議と体が動くんだよね」と辻野茂樹監督。坂井が振り返る。「僕は打たれる投手だから、バックを信じて投げるだけでした。先輩たちの声も頼もしかったので、ネガティブになることはなかったです」。平常心は崩れなかった。

 4月の練習試合で大敗した相手と0―0のまま、九回へ。「私学(関西創価)に勝つには、我慢して接戦に持ち込むしかない」。監督の考える理想通りの展開だった。2死から山口颯斗(2年)の中前適時打で待望の1点が入る。6安打の関西創価に対し、四條畷はわずか3安打。1―0で粘り勝った。

 勝てば大阪桐蔭とやれる――。そんな考えが、接戦の中でよぎったのか。関西創価の主将松永レオ(3年)は「大阪桐蔭のことばかり考えていた」と明かした。一方、四條畷の主将横川竜太郎(3年)は「まずは一戦必勝や」と、みんなに言い聞かせた。勝った後に涙を流すほど、この初戦にかけていた。

 王者との対戦に駒を進め、辻野監督は苦笑いだった。「関西創価さんのことで頭がいっぱいで、まだ考えられていません」。ただ、次も声をからして戦う。それは、変わらない。(小俣勇貴