[PR]

 奈良県桜井市の県立奈良情報商業高校野球部の選手2人が、近鉄桜井駅のホームから転落した男性を救助した。主将が男性のおしりを押し、4番打者が腕を引っ張って、ホームに引き上げた。県警は2人の行動をたたえて、感謝状を贈呈した。

 主将の梅本勝斗(しょうと)君(3年)と4番の西浦巧君(同)は2月11日午後3時ごろ、近鉄桜井駅のホームの待合室にいた。帰宅方向が一緒で、いつもと同じように2人で電車を待っていた。

 スマートフォンを見ていた梅本君がふと顔を上げると、反対側のホームで線路に向かって嘔吐(おうと)する男性(70)が見えた。次の瞬間、そのまま線路に落ちていった。

 「落ちた!」

 梅本君の声に、西浦君も転落に気づいた。荷物を置いたまま、2人は待合室を飛び出し、反対側のホームへと階段を駆け上がった。

 転落した付近につくと、西浦君がホームから男性の手を握り、梅本君がおしりを押して、引っ張り上げた。この間にホームの乗客が非常通報ボタンを押した。

 男性は頭頂部から出血していた。西浦君と目が合うと、「すまんな」と何度も繰り返した。男性は救急搬送された。

 奈良情報商の青山典寛(のりひろ)監督(44)は部員から「救出劇」を聞いた。「梅本はガツガツ前に出るタイプではないし、西浦もそう。びっくりしました」。部員を集めて、2人の行動をたたえた。

 同学年の投票で主将に選ばれた梅本君。実は数え間違いで得票数は2位だったが、部員の総意でそのまま主将に。「キャプテンぽくはないけど、頑張ってます」とマネジャーの戸浦和香(のどか)さん(3年)。西浦君はムードメーカーで、「普段の練習でも、みんなに元気無いときも笑かしてくれます」と部員の新谷恵右(けいすけ)君(同)は話す。

 梅本君と西浦君は6月、桜井署から感謝状が贈られた。緊張した面持ちの西浦君は「無心でやっていました」。梅本君は「すごいことしたんだなと思いました」とはにかんだ。

 奈良情報商は14日正午、第100回全国高校野球選手権記念奈良大会(朝日新聞社、県高野連主催)の開幕試合を迎える。梅本君は「初戦を突破したいです」、西浦君は「フルスイングでがんばります」と笑顔を見せた。(高橋杏璃)

こんなニュースも