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 (14日、高校野球岡山大会 高梁日新9―4水島工)

 仲間に家族に、多くの人に支えられた夏だった。

 水島工には、西日本豪雨で大きな被害を受けた倉敷市真備町から通う選手が6人いる。1番右翼で先発出場した中原啓太(3年)もその1人だ。試合はいきなり8点を先行されたが、諦めなかった。

 一回の攻撃。中原は3度、ゆっくりスイングをして打席に入った。「打とうとせず、来た球を打ってこい」という両親からの言葉を思い出して冷静になった。1ボールからの2球目。狙っていた直球だ。引っ張って左前へ運ぶ安打にした。そこからつながり、3点を返した。

 西日本豪雨で、自宅は1階が床上浸水になった。グラブが使えなくなり、野球どころではなかった。総社市にある祖母の家に避難しながら、自宅の片付けに追われた。

 グラブは母方の親戚でもある同高野球部OBが「これ使って頑張れ」と貸してくれた。父も「家のことは大丈夫。野球に集中しろ」と言ってくれて、吹っ切れた。12日、部の練習に戻った。開幕前日だった。

 小川颯太(同)も同じ日に復帰した。同じ小中学校で、励まし合う良きライバル。「自分たちで真備を元気づけよう」と試合前に言い合った。小川は八回に代打で左前安打を放った。2人とも精いっぱいのプレーで示した。

 中原はこれで野球に区切りをつける。「後輩には甲子園に行って、真備を元気づけてほしい」=エイコン(大坂尚子)

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