[PR]

 他国の公務員への贈賄疑惑をめぐり、日本の企業と東京地検特捜部との間で司法取引の合意が成立したことが関係者の話でわかった。同制度が6月に導入されて以降、初の適用。特捜部は不正競争防止法違反(外国公務員への不正利益供与)の疑いで捜査しているとみられ、企業側は捜査に協力する見返りに、法人の立件を見送ってもらう内容で合意したという。

 この企業は「三菱日立パワーシステムズ」(MHPS、横浜市)。三菱重工業と日立製作所が双方の火力発電事業を統合し、2014年2月に発足した。関係者によると、贈賄疑惑があったのは三菱重工が13年に受注し、MHPSが引き継いだタイの発電所建設事業で、同社の社員らが現地の公務員に多額の賄賂を渡した疑いがあるという。

 同社は社内調査で不正を確認し、関与した社員らの情報を特捜部に提供。同法に違反すると最高3億円の罰金が科されるが、同社はこれを見送ってもらう内容で合意したという。同社は取材に対し「現段階でお知らせすることはございません」とコメントした。

 司法取引は、他人の犯罪に関する情報を捜査機関に提供することで、自分の刑罰の減免を受ける。法人が処罰の対象になる犯罪では、社員らの犯罪をめぐり法人も司法取引ができる。

 外国公務員に対する贈賄は、企業側が現地の複数のブローカーを介して行う場合が多く、捜査で資金の流れを解明するのが難しいとされてきた。企業に協力させることで日本側の捜査が円滑になる可能性がある。

 外国公務員への贈賄で処罰された場合、国際金融機関との取引ができなくなる可能性がある。企業法務に詳しい弁護士は「企業が受けるデメリットは大きく、今後は企業自体が罰せられるのを防ぐため、検察との司法取引に応じるケースが増えるかもしれない」と話す。