最高齢82歳監督、最後の夏終わる ノックバット離さず

編集委員・安藤嘉浩
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(14日、高校野球群馬大会 高崎東5―2利根商)

 82歳の老将はノックバットを握ってベンチから引き揚げてきた。

 「ぼくの高校野球は終わりました。お世話になりました」

 バットを手にしたまま、利根商の豊田義夫監督は報道陣に頭を下げた。

 日本高校野球連盟と朝日新聞社の調査に回答した全国3939校の監督で最高齢。母校の近大付(大阪)を率いて春の甲子園に3回出場し、3年前に単身で関東に乗り込んだ。最初は外野ノックも打ったが、ほどなく内野だけに。「思うように打てなくなった」と引き際を決めたそうだ。

 箕島の尾藤公監督が「イメージ通りのノックができなくなった」と勇退したのは52歳。星稜の山下智茂監督は60歳のときだった。済美(愛媛)の上甲正典監督、横浜の渡辺元智監督(73)も最後まで自分で打ったが、82歳でのシートノックは異例と言っていい。

 この日の豊田監督の内野ノックはテンポ良く、一人一人の状態を確かめるように行われた。選手は一、二回と内野ゴロ併殺でピンチを切り抜け、監督の期待にこたえた。しかし、六回に逆転を許した。

 「もう少したくましいチームに育てたかったが、いたらない監督でごめんなさい。あとは次の人にお任せします」

 球場を去るまで、ノックバットを離さなかった。(編集委員・安藤嘉浩