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 夏の高校野球で熱いのは試合だけじゃない。猛暑の対策も重要だ。「塩」や「うちわ」「ぬれたタオル」……。岡山大会1回戦で備前緑陽と対戦した邑久(おく)は、延長十三回タイブレークまでもつれた4時間半近い試合を、敗れはしたが工夫して乗り切った。

 気象庁の観測では、エイコンスタジアムがある岡山県美咲町に隣接する津山市の最高気温は35・6度。11時29分に始まった第2試合は猛暑との戦いでもあった。

 五回終了後のグラウンド整備中、邑久のベンチで「塩昆布、食べろよ」と東山人士監督が選手たちに呼びかけた。前任校で監督をしていた2年前、熱中症で倒れた選手を、この塩昆布で“復活”させたことから「験担ぎも込めている」という。塩昆布のほか、バナナも用意し、猛暑対策に努めた。

 給水タンクの上には、沖縄の石垣島産と宮古島産の2種類の塩が置かれた。これは小野訓正(くにまさ)副部長の発案だ。岡山南の部長だった2002年夏、エースが足がつって1点差で敗れたことが教訓になっているという。「普通の食塩だと食べたがらない。おいしい塩を勧めると食べてくれた」。岡山東商に赴任した時も実践。夏に延長十五回を戦っても熱中症の症状が出た選手はいなかったという。

 遊撃手の森亘永(のぶなが、3年)は試合中に10度ほど、塩を口にした。「そのままはしょっぱいから、塩を口に入れて水で流す。みんなもやってます」。控えのメンバーが、うちわやぬれたタオルで試合に出ている選手を涼ませるなど選手間でも工夫している。

 この日は十一回に選手交代が1人あったが、森は「それまでは3年間でなかった。効果はすごいある」と話す。小野副部長は「原始的だけど、経験上これが一番だった」。試合前には吹奏楽部にも手渡したそうで、「試合には負けたけど、暑さには勝った」と胸を張った。(大坂尚子)