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 サッカー・ワールドカップ(W杯)で15日(日本時間16日未明)、初の決勝に挑んだクロアチアはフランスに敗れ、準優勝に終わった。だが人口約420万人の小国が成し遂げた快挙に、会場からは賛辞が送られた。

 「一つの心 一つの力 私の国クロアチア」

 試合前、国歌斉唱に合わせてクロアチアのゴール裏に横断幕が現れた。人口はフランスの1割にも満たない。だがこの日、モスクワ・ルジニキ競技場に駆け付けたファンの数は、相手を上回る迫力だった。

 旧ユーゴスラビア時代、イビチャ・オシム氏も指揮した代表チームは「東欧のブラジル」と呼ばれた。だが1991年、クロアチアは独立を宣言して内戦に突入。旧ユーゴ諸国はW杯から遠ざかった。今大会の最優秀選手に選ばれたMFモドリッチは当時、祖父を殺され、自宅も失ったとされる。

 W杯の舞台に復帰した98年、クロアチアは3位に食い込んだ。今大会の準優勝は、その最高成績を塗り替える快挙となった。

 小国の躍進に、国内は沸いた。決勝進出を受け、急きょ現地入りを決めたファンも続出。「昨日チケットを入手して、今日ロシアに来たんです」「1泊で明日帰ります」。いても立ってもいられずに駆け付けた国民が、ゴール裏スタンドの大部分を埋めてチームを後押しした。

 試合は一時、3点のリードを許す展開。それでも諦めないプレーに心を動かされる観客は多かった。「技術が高く、常に走り続ける姿勢は一生忘れない。小国こその団結力を感じた」とロシア人のコンスタンチン・ラングルギルさん(41)。開催国のファンも味方に付けた。

 敗戦後、雨の降るピッチで最後の円陣を組んだ選手たちに、会場中から拍手が送られた。「決勝は不運だったけど、このチームを誇りに思う。失望はしてないよ」とウラジミール・ペジックさん(65)は胸を張った。

 表彰式も終わり、多くの観客が去ったスタジアム。決勝の舞台の名残を惜しむように、クロアチアサポーターは何度もその歌声を響かせ続けていた。(モスクワ=高野遼)

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