米ニューヨークの世界貿易センタービルにあった「雲の砦(とりで)」などの作品で知られる彫刻家の流政之(ながれ・まさゆき)さんが7日、老衰で死去した。95歳だった。故人の遺志で葬儀は行わない。香典や供花は遺族の希望で辞退している。

 長崎市生まれ。零戦のパイロットとして終戦を迎え、独学で彫刻を学んだ後、62年に渡米。600トンの石を使った巨大な壁画「ストーンクレージー」などの作品を手がけ、「サムライ・アーティスト」として注目を集めた。75年に帰国し、高松市庵治(あじ)町に設けた工房を主な拠点として、制作活動を続けていた。

 三味線のバチのような形の「ナガレバチ」や、人間の胴体部分が空洞になった「サキモリ」などの代表シリーズがあり、大阪・梅田の阪急三番街、神戸のメリケンパークなど、各地に作品が残る。日本建築学会賞や日本芸術大賞、中原悌二郎賞、吉田五十八(いそや)賞などを受賞。日本アカデミー賞のトロフィーのデザインも手がけた。

 長女で画家の麻二果(まにか)さんは17日、「アーティストとして生きるということを、その全てを以って教えてくれた父でした。これからも変わらず父の作品は生き続けます。世界に、日本の各地に存在する作品を愛でてくださることが父の遺した願いです」などとするコメントを発表した。