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 「紅白歌合戦」や情報番組「あさイチ」の司会など、27年間勤めたNHKの看板アナウンサーだった有働由美子さん(49)が朝日新聞のインタビューに応じ、現在の日々や今後の抱負を語った。退職後に発売されたエッセー「ウドウロク」の文庫版は現在22万部のヒット。10月からは日本テレビ系「NEWS ZERO」のキャスターを務める。

 ――NHK退職後、どんな生活をしていますか?

 「一昨日イスラエルから帰ってきました。今まで行きたかったのに行けなかったところに行く日々です。中東、特にイスラエルは新人時代からモサド(情報機関)の本を読んできたので興味がありました。だけど中東のニュースを聴いたり、自分で伝えたりしてもどこかひとごとで、一度きちんと自分で行くべきだと思っていました」

 「今回、頂いた退職金でパレスチナ側、イスラエル側それぞれのジャーナリストにコーディネートをしてもらい、別々の日に案内してもらいました。同じ国の、すぐ近くに住んでいるのに主張が全く違う。本を読んで知っていたものの、どちらの言い分も、実際に目にして聞いて、やっと体の中に入ってきた感じがします」

嫌がられると知った「幸せ」

 ――海外だけでなく国内も回っているのですか?

 「10日間かけて八戸から茨城まで、車で東日本大震災の被災地の沿岸部も回りました。毎日行けるところまで行って、民宿に泊まる日々でした。『ご迷惑でしょうが、7年経った今の心境をお聴かせ頂きたくて』と、通りゆく人々に声をかけて」

 ――どう感じましたか?

 「当たり前ですが、人の思いは様々だと実感しました。スーパー防潮堤が出来上がっていた場所でも『これでは足りない。もっと高くしてもらわないと』と言う人もいれば『どうして一番いい景色を消すんだ』という人もいました。『こういうの、どうやって伝えていくと一番いいのかな』と考えさせられました」

 「福島の復興住宅では、迷惑そうな顔で『だから何? さっさと話してよ』『聞きたいことだけ聞いて』みたいなことも言われました。当たり前ですよね。そこにはマスコミがいっぱい来て、毎回『住みにくいですか?』って聞くわけです。だから、嫌がられると知ったことも含めて『幸せだな』と思いました」

 ――そういった現場への思いから、退職してフリーの道を選んだのですか?

 「そうです。スタジオでは『伝えられている』という手応えを強くは感じられないのです。現場で当事者のお一人お一人に会って『これを伝えたい。伝えなきゃいけない』って思うのが一番うれしいこと。それが共感を呼んだり、番組になったりするとき私は『この仕事をしていてよかった』と思う。もちろんスタジオでも視聴者からのファクスに反応して『つながった』と思えることはありますが。秋からキャスターを務める番組でも、現場に出て行って、そこにいる人たちとやりとりする時間を確保してほしいと伝えています」

NHK退社に迷い「すごくありました」

 ――NHKを辞めるに際して、迷いは?

 「すごくありました。27年間NHKにいて、どちらかというと『組織の一員として認められたい、染まりたい』というタイプでした。NHKの番組も仲間も大好きだし、やっと局内で自分の思う通りの意見を言えて、自分の思う番組づくりがやりやすくなったのに、なぜ辞めるのか。そんな自問自答は最後まで繰り返しました」

 ――大きなきっかけは何だったのですか?

 「やはり『あさイチ』のキャスター交代を打診されたことです。私は会社人間なので、『管理職をやって下さい』と言われたら楽しんでやったと思うのです。だけど今回の決断は現場に残れるまさに最後のチャンスでした。NHKを辞めたくない思いが8割、9割だった。それでも『今逃したら私、絶対普通に管理職を楽しみながらやってしまう』と思ったのです。本当にそれでいいんだっけ?と。年齢的、体力的なことを考えると、あと何年飛び回れるのかな、とか。昔からスタジオから出ていくことが好きで、『そっちの方が生き生きしているよね』と言われていたのに、それも忘れかけていた。いつの間にか『回し上手ですよね』と言われるようになって……。回す技術は、場数で向上するもの。誰がやっても同じなのです。外に出て、現場で何を感じて、どう伝えるかというのは、私だけのもの。既にその感性さえも鈍っているかもしれない。でも、試すなら最後かもしれない、と。本当にもう、仕方がなかったんです」

 ――秋から担当する「NEWS ZERO」でもスタジオを担当することが多いと思いますが、「あさイチ」のように番組内で視聴者とのやりとりを考えているのではないですか?

 「もちろんです。視聴者の意見は、とっても大事にしたい。一緒に考える番組にしたいと思っています。だって、テレビ局が作って上から目線で流すだけのニュースにはもう、それほど需要があるとは思えません」

インタビュー後半も内容盛りだくさん。厳しい意見もあった「ジャーナリストとして」発言の真意、働く女性としてセクハラ問題に向き合えなかった反省など率直に語っています。

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