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(15日、フランス4―2クロアチア ワールドカップ決勝)

 まるで家族のような一体感こそが、「レ・ブルー(青)」の愛称を持つフランス代表の強さだった。

 決勝でも、互いを信じて走り続けた。

 後半14分、25歳のMFポグバが自陣から右サイドに展開。19歳のMFエムバペが加速した。右サイドを疾走すると、中央へクロス。中央に走り込んだ27歳のMFグリーズマンがポストプレー。そこをめがけてポグバがシュートを放つ。いったんは防がれたが、再び左足でシュート。鮮やかな速攻で3点目を奪い、勝機を引き寄せた。

 フランスのデシャン監督はいう。「チームというのは簡単に壊れる。監督の主な仕事は、心のマネジメントだ。サッカーだけでなく、選手の人間性のバランスを見ながらチームを作っている」。フランスからは次々と若い才能が誕生しているが、やみくもにうまい選手を並べればいいわけではない。そこには、フランスが初優勝を果たした1998年のチームをまとめ上げた、元主将ならではの監督哲学がある。

 98年のフランス代表は多民族の統合の象徴と言われた。フランス系に加え、アフリカ北西部、アルジェリアなどにルーツを持つ個性豊かな選手たちが一体となり、初優勝を果たした。一方、中心のMFジダンが引退すると下降線へ。2010年W杯では監督と選手の対立、チーム内の不和、練習のボイコット騒動が明るみに出て、1次リーグで敗退した。

 今大会は実力が高くても、エゴの強いFWベンゼマやMFナスリらを外した。決定力は劣るが、献身的で利他的なFWジルーを重用したのは、デシャン監督のこうした姿勢の表れだ。

 グリーズマンが「いろいろな出自はあるけれども同じユニホームの下で全員が全てを出し尽くした」と言えば、「チームは家族のようだった」とポグバは笑う。末っ子を見守るように、チーム全体がチーム最年少のエムバペをかわいがる姿は家族そのもの。「犠牲」「一体感」という言葉が自然と出てくるのが今回のチームの特徴だった。

 20年前の優勝時は生まれていなかったエムバペはまだ19歳で、先発には20歳代前半の選手が多くそろう。「20年前に20歳だったアンリやトレゼゲは2度目の優勝を果たせなかった。エムバペにはもう一度、優勝して欲しい」とデシャン監督。フランスは新しい黄金時代を作るのか。それに呼応するように、エムバペは言い切った。「素晴らしい結果だと思う。この物語はまだ始まったばかりだ」(河野正樹

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