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 国の文化審議会は7月20日、文化財の保存のための選定保存技術の保持者に「邦楽器糸製作」の長浜市木之本町、橋本圭祐さん(72)を認定するよう文部科学相に答申した。生糸で邦楽器の糸(絃〈げん〉)を製作、全国で唯一、伝統技術の「独楽撚り(こまよ)」を続けている。文楽の三味線の糸の製造を一手に引き受けるなど伝統芸能の保存、継承に欠かせない技術と評価された。

 橋本さんは明治末期に創業の会社「丸三ハシモト」の3代目で会長を務める。同社は邦楽器の糸400種類以上を製作し、橋本さんは今も現場で製作に携わる。2代目の父、故・太雄さんも1979年に保持者に認定された。橋本さんは「父親から技術を学び、50年間、糸を作ってきた。父親と同じく認定されて本当にうれしい」と話した。

 「独楽撚り」はカシの木の重り(独楽)を生糸の先に付けて3人が手仕事で撚っていく技術だ。撚る際の繊細な力の入れ具合などで、演奏者の好みに合わせることができるという。伝統芸能の三味線奏者らから、主流の機械撚りに比べ「音がよく飛ぶ(響く)」と評価が高い。

 邦楽器の糸の製作については、蚕の繭から生糸を作る技術を継承している「木之本町邦楽器原糸製造保存会」が1991年、選定保存技術の保存団体に認定された。橋本さんの認定で邦楽器の糸の製作の全工程が選定保存技術に認定されたことになる。(田中昭宏)