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 人間の全遺伝情報(ヒトゲノム)を丸ごと読み解く。「国際ヒトゲノム計画」が、解読の完了を宣言してから今年で15年が経ちました。生命の設計図、遺伝子の解読技術はその後も急速な進化をとげ、一人ひとりの遺伝情報を丸ごと分析する「パーソナルゲノム」の時代が到来し、その活用も広がり始めています。

 米と英独仏、そして日中の6カ国の首脳がヒトゲノムの解読完了を宣言したのは2003年4月のこと。ワトソンとクリックによるDNAの二重らせん構造の発見から50年という区切りの年で、共同宣言は「これは我々自身を理解するための基盤であり、生命医科学と人類の健康と福祉における革新的な進展がなされるだろう」と、その意義をうたいました。

 1990年のプロジェクトの開始から13年、ヒト1人分のゲノム解読完了までに投じた資金は約30億ドル(約3300億円)といわれます。壮大な国際プロジェクトが成し遂げたヒトゲノム解読のコストはいま、1人分で1千ドルを割り込み、かつての300万分の1のレベルまで急低下しています。

 背景にあるのは、ゲノム解読技術の加速度的な進歩です。とりわけシーケンサーと呼ばれるDNA解読装置は、2006~07年ごろから「次世代型」が登場し、この10年間、以前の型を大きく上回るスピードで性能が向上しました。分析するDNAの長さを短くする代わりに、一度で大量のDNAを読めるようにする。そんな工夫の結果、最も普及している米イルミナ社の最新鋭装置では、1日でヒトゲノム約50人分を分析することができる能力を備えています。

 ここ数年には、次世代型と異なるタイプの分析装置も製品化されました。極小の穴(ナノポア)の中をDNAを通過させ、電流の変化で分析する方式で、手のひらに収まるくらい小さくできます。スマートフォンに接続するタイプもあり、いつでも、どこでも手軽に使えるのが特徴です。

 解読速度の向上と小型化という技術革新を後押ししたのは「1000ドルゲノム」計画です。国際ヒトゲノム計画が終わった翌年、米国立ヒトゲノム研究所が「その次」の目標として立ち上げた新技術の開発支援プログラムで、高速のシーケンサーを開発したイルミナ社も、ナノポア方式の分析機器を製品化した英国のベンチャー企業も、この支援を受けた技術を活用しています。

 急ピッチな技術革新の恩恵は、…

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