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(19日、大相撲名古屋場所)

 支度部屋に引きあげてきた御嶽海は、報道陣に背を向けた。青緑色のタオルを肩にかけ、まげを結い直してもらう間、目は閉じたまま。「大関に勝たなきゃ意味ない」。帰り支度の後、そうつぶやいた。

 2敗力士がいなくなり、結びで勝てば、初優勝に王手をかけることができた。相手は大関高安。今場所初めての格上との対戦だ。

 立ち合いから、右でまわしを取りつつ、おっつけて高安の下手を封じた。わきを締め、低く構える。出し投げ気味に振り、相手が背を向けた瞬間に突進。最後、土俵際で突き落としを食らい、一緒に土俵の下に落ちていった。

 一瞬高安に向きかけた軍配は、御嶽海へ。が、物言いがついた。観客から「もう1回」とコールが湧く中、下された協議結果は「差し違え」。高安の勝ちだった。

 阿武松(おうのまつ)審判部長(元関脇益荒雄)は「ビデオ室と審判で判断した」と説明した。御嶽海の右足が落ちるのと、高安の左足の指先が俵の外の砂に触れるのは、ほぼ同時に見えた。「体が残っていたという判断。それでお願いします」。審判部長は重ねて言った。

 内容で勝ち、勝負で敗れた一番に、「まあ、いいクールダウンでしょう」と御嶽海は強がった。八角理事長(元横綱北勝海)は「一つ負けると、いろいろ考える」と見る。連敗癖もある。有利な立場に変わりはないが、13日目からは未体験の重圧とも戦うことになる。(菅沼遼)

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