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 2020年の世界文化遺産の登録を目指す候補として、国内から「北海道・北東北の縄文遺跡群」(北海道と青森・岩手・秋田の3県)の推薦を目指すことを19日、文化審議会が決めた。政府は自然遺産の候補と調整し、どちらかに絞って来年2月までにユネスコ(国連教育科学文化機関)に推薦する。

 1万年以上続いた縄文時代に、自然環境に適応しながら定住を確立・展開させた過程を示す遺産群。日本を代表する大規模な集落跡がある三内丸山遺跡(青森市)や「遮光器土偶」で知られる亀ケ岡石器時代遺跡(青森県つがる市)、北黄金貝塚(北海道伊達市)など17の構成資産からなる。

 狩猟、採集、漁労を基盤に日本列島の中でいち早く土器を使い始めて定住し、次第に大型の拠点集落や共同墓地などもできた生活実態を示している。

 「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」(新潟県)との選択だったが、審議会の佐藤信(まこと)・世界文化遺産部会長は「検討が相対的に進んでおり、価値を証明する物証が確実にある」と説明した。

 地元自治体の推薦書原案は13年から5回落選し、6度目の挑戦が実った。三内丸山遺跡では、ボランティアガイドの約30人が抱き合って喜んだ。一町田工(いっちょうだたくみ)さん(80)は「本当に待ち遠しかった。縄文遺跡群は人の生活の積み重ねの歴史そのもの。人がどんなところで技術を進歩させ、自然と共生してきたかを広くわかってほしい」。自然遺産との調整など、関門はまだある。青森県の青山祐治副知事は「登録への第一歩。これからが大変な競争だ」と話した。(林義則)

「文化」「自然」あわせて1国1件

 20年に向けては、今夏の自然遺産への登録を断念した「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(鹿児島、沖縄両県)も再挑戦を目指す。今年5月にユネスコの諮問機関から「登録延期」の勧告を受け、取り下げた。環境省は推薦書の再提出に向け、課題だった沖縄本島北部の米軍基地返還地のうち9割を、やんばる国立公園に編入し、生態系を保護管理する対象に加えるなど準備を進める。

 だがユネスコは審査数の削減策を打ち出しており、20年登録分から文化と自然遺産を合わせて1国1件に限定する。

 文化庁と環境省は話し合いを始めているが、各地元の思いもあり折り合うのは容易ではない。過去には「政治決着」にまでもつれた例もある。15年登録をめざし、文化審議会が選んだ候補と内閣官房が推す候補が競合。政府内の調整の結果、「明治日本の産業革命遺産」に一本化された。

 仮に自然遺産が選ばれた場合、縄文遺跡群を改めて21年登録の国内候補とする手続きは、「他候補と改めて比べて選ぶのか、選定方法も含めて文化審議会で検討してもらう」(文化庁担当者)といい、未定だ。(川村剛志、上田真由美)