[PR]

 西日本を中心に大きな被害が出た豪雨では、総務省消防庁の19日正午時点のまとめで、12府県の計約4万人に避難指示が出たままだ。解除が見通せない地域も少なくない。「いつまで続くのか」。被災者たちには疲労といらだちが募る。

 総務省消防庁などによると、今回の豪雨では7日午前11時半時点で、広島県の約236万人に避難指示・勧告が出され、ほか20府県の約193万人に避難指示が出ていた。19日正午時点のまとめでも広島県の約1万6千人と、ほか11府県の約2万4千人に避難指示が出ている。

 ●広島

 「山が崩れるぞ」。19日午前6時40分ごろ、広島市安佐北区にある神ノ倉山(標高約561メートル)のふもとでサイレンが鳴り、住民らは小学校まで避難した。

 同区白木町井原の5地区には、地滑りの危険があるとして11日から89世帯に避難指示が出ている。この日のサイレンは、広島県が設けた地滑りの検知装置が作動したためだった。

 地区内のビニールハウス30棟で野菜を作る新谷慎一さん(52)は、軽トラックからホウレン草をおろした時にサイレンを聞いた。「野菜を作らないと暮らせない。ちょっとした夕立も気をつけないと」

 結局、サイレンは誤作動と判明し、県は住民に陳謝。地元自治会長の橋本守男さん(69)は「避難がいつまで続くのか出口が見えない。我慢できるかどうか」とこぼす。

 神ノ倉山では複数の亀裂が見つかり、県が調査を始めているが、全体像はつかめない。避難指示解除の見通しもたたないという。

 ●岡山

 大規模な浸水で、51人が亡くなった岡山県倉敷市真備(まび)町では、全域の8947世帯2万2760人に避難指示が出ている。

 真備町は全域が市の浸水想定エリアだったわけではなく、高台など想定エリア外に避難所が設定されていた。全域への避難指示で、退避すべき区域に避難所がある事態になり、3カ所に計873人が身を寄せる。

 避難指示が出たままだと知らない住民もいる。高台の学校に避難する女性(46)は「コンビニの営業が始まったので、指示が続いているとは思わなかった」と話す。高台の自宅に住み続ける中村吉子さん(85)は「避難所で知らない人と過ごすのは怖い。雨がやんでも指示がずっと出ているのは、なぜ?」と言う。

 市の担当者は「町全域での解除も検討したが、雨が降った場合などに逃げ遅れが出ないように避難指示を続けている」と説明する。

 ●愛媛

 瀬戸内海に浮かぶ愛媛県・大三島。今治市上浦町井口では、戸板川が土砂で埋まり、川の水が住宅地の道路や庭先を流れている。大雨が降れば大きな被害が出かねず、6日午後7時前に56世帯103人に出された避難指示が19日現在も解除されていない。戸板川の土砂を取り除く工事が終わり次第、解除を検討する構えだが、見通しは立たない。

 近くの鴉(からす)譲輔さん(71)は、自宅の土砂を片付けながら、「水がどこを流れるかわからない。台風が来たらどうなるのか」と不安そうに話した。ミカン農家の男性(69)も「川をどうにかしないと怖くて仕方がない。早く元に戻してもらわんといけん」とこぼす。

 ●兵庫

 六甲山のふもと、神戸市灘区篠原台の住宅地でも、76世帯152人への避難指示が続く。6日夜に住宅地の裏山が崩れ、大量の土砂が家や道路に流れ込んだ。

 市は14日に住民説明会を開き、応急工事や土砂の撤去を進めて8月中旬までに避難指示を解く方針を示した。土砂崩れは高さ十数メートルにわたり、道路が狭くて大型重機が入りにくいため、時間がかかるという。市の担当者は「市民の安全を優先しなければならず、避難指示の継続は必要」と話す。

 会社員の石村友明さん(38)は家の前に土砂が押し寄せ、市内の妻の実家に家族で避難している。「避難指示が解除されないと、ボランティアも十分に来られず、復旧が遅れるのでは」と不安を募らせる。

 公的機関がボランティアを受け入れていないなか、自主的に入った人たちが住宅地の一角に受付を作り、作業の確認や割り振りをしている。大阪府八尾市から来た郵便局員の男性(23)は「人手が足りず、誰かがやらないといけないと思って」と話した。