テレビアニメ「まんが日本昔ばなし」で20年近く共に語り手を務めた俳優の市原悦子さん(82)が、18日死去した常田富士男(ときた・ふじお)さんの思い出を語った。

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 大地を踏みしめているような存在感と反骨精神があって、非常に信じられる、頼もしい人でした。

 昔話の中から抜け出てきたような人でもあった。おうちには動物がたくさんいて、事故に遭ったとき、(飼っていた)猿が身代わりになってくれたとか、こたつに入る時に年取った猫に足が当たり、すごくにらまれて、本当に悪いことをしたなあと思ったとか、話していました。

 録音の前には毎回、世の中の理不尽なことを嘆いていた。昔話に、現実の理不尽さを昇華する。それも、あの声で、浮いた話でないように語ってくれますでしょう。常田さんの声を聴けば私がよくなり、それを聴いて常田さんもよくなる。いい関係でした。

 (1975年に)番組が始まった時、私は「スピードの速い世の中で、聴いている人が眠ってしまうような、ゆっくりとしたテンポでやりましょうね」と言ったんです。後には「入れ歯になっても車いすになっても、続けましょうね」と。それはどちらが言ったのか覚えていません。

 昔話は、今と価値観が違うでしょう。お金は要らない、愛の方が大切。そういう価値観を共有した、相棒であり仲間であり、時々甘えてくる、弟のような感じもありました。