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 もめにもめた2020年東京五輪の野球・ソフトボールの日程が決まった。

 「三方一両損。大岡越前の裁きになったわけだ」

 レマン湖を望むスイス・ローザンヌの高級ホテルで18日にあった国際オリンピック委員会(IOC)の理事会後、大会組織委員会の森喜朗会長は有名な古典落語の演目を持ち出して「やれやれ」と胸をなで下ろした。

 組織委と統括組織である世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が合意に至ったのは、理事会の前夜だったという。

 両者は1次リーグの方式を巡って対立していた。参加6チームを二つに分けて1次リーグを行う方式を望む組織委と、6チームによる総当たり戦を主張するWBSC。結局、組織委は1次リーグの方式を堅持した。一方、落としどころとなったその後の決勝トーナメントについては敗者復活を含む変則方式を採用。合計の試合数は、組織委が当初想定した10から16に増えた。

 WBSCのフラッカリ会長は決定後、記者会見場にわざわざ姿を見せ、「日本の試合数が増える。それは放送権者も希望していた。最高の大会になる」と上機嫌で取材に応じた。

 WBSCにすれば6チームの総当たりとはならず、組織委からすれば試合数が増え、経費がかかる。そして両者の「対決」を仲裁したIOCにとっても、開幕2日前にソフトボールの開幕戦を福島で実施する「特例」を、サッカー以外でも許すことになった。だから、「三方一両損」なのだ。

 ギリギリで決めた競技日程には課題も多い。できあがったトーナメントは、3敗しても金メダルに届く可能性があり、実際に競技が進めば物議を醸すこと必至。予備日の確保も難しく、福島での試合が増える可能性も出ている。

 ただ、韓国に2度敗れながら日本が優勝した第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のように、落差の激しい物語を楽しめる舞台が整ったとも言える。国民的スポーツを巡る物語には、どんなオチがつくのか。2年後のお楽しみとなる。(野村周平)