[PR]

遠藤乾=国際

△中山俊宏「アメリカン・ナショナリズムの反撃 トランプ時代のウィルソン主義」(アステイオン88号)

 本号はリベラル国際秩序に関する特集号。読み応えのある論考が並ぶ。そのなかで中山は、アメリカという中心的な担い手が壊れている事態を前に内在的な分析を試みる。そこでは、米外交をW・R・ミードの枠組みよろしくジェファソニアン、ハミルトニアン、ジャクソニアン、ウィルソニアンといった4大潮流に分類し、トランプ米大統領をジャクソニアンとするのでは不十分で、北の産業文化が入り込む中で旧体制にしがみついた南部連合大統領ジェファーソン・デイヴィスにちなんでデヴィソニアン外交に近いではないかという仮説を提示する。となると、アメリカという普遍主義を掲げた例外国家の終焉(しゅうえん)、ナショナリズムの肯定を意味し、含意は世界的で根深いものとなろう。

△李鍾元・平井久志の対談「米朝首脳会談後の東アジア 非核化・平和構築の行方は」(世界8月号)

 米朝首脳会談を分析し、その後を考察した包括的な対談。今回の会談は北朝鮮が主体的に判断した結果であり、非核化は進むとして長期にわたる段階的なものになるとする。そのうえで、今後平和協定が結ばれることになった暁には、在韓米軍に反対する中国の存在がカギとなるが、李は国連軍の解体は不可避となる一方、在韓米軍の縮小はありえても解体はないという見込みを示す。また、今後経済協力が議題になるだろうが、日本においても、それをどう地域の平和につなげていくかという視点が重要とし、アメリカ依存の外交思考から脱皮するよう促している。

△高口康太「中国のAI社会は『異形』か 個人データと利便性を取引」(Journalism7月号)

 中国において飛躍的に発展するAI技術・社会に関し、高口は悪魔化せず観察する必要を説き、それを個人データと便利性とが取引される時代の先取り事例として描く。確かに、コネで何とかなる世界と異なり、個人信用が客観的に細かく点数化された世界は、中国の文脈ではより「民主的」かもしれないし、それはどんなに嫌悪すべきディストピアではあっても、じっさいには世界化しゆく近未来かもしれない。著者の言うように、いまから日本における個人データと便利性の線引きを考えておく必要は最低限あるだろう。

木村草太=憲法・社会

△大前治「自然災害大国の避難が『体育館生活』であることへの大きな違和感 避難者支援の貧困を考える」(現代ビジネス、7月10日)

 西日本の豪雨災害を受けての緊急寄稿。災害時の居住福祉の問題はこれまでも論じられてきたが、イタリアと比較しながら、仕切りもなく、冷房も満足に設置されていない体育館に詰め込まれる避難の様子について、人権意識の不足が指摘される。私たちの中で、当たり前になっている光景を、人権の観点から再考するきっかけを与えてくれる論稿である。

△山本龍彦「GDPRが突きつけ…

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら

こんなニュースも