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(20日、高校野球青森大会 弘前学院聖愛2―1弘前工)

 兄の悔しさをバットで返す時が来た。弘前工一回表2死三塁、打席には主将で4番の阿保楓真(3年)。一塁への内野安打で、泥臭く1点をもぎ取った。

 連続サヨナラ勝ちで準決勝進出を決めた19日、LINEのメッセージが届いた。「右の肩が投手方向に入り過ぎている」

 送り主は3学年上の兄拓真。弘前工野球部の出身で、最後の夏は4番を打ち、弘前学院聖愛に1点差で敗れた。関東の大学で野球を続ける兄はインターネット中継で弟の試合を見ていた。「リベンジしたい思いが力になった」と阿保は言う。

 兄だけでなく、いとこもやはり4番を打ち、弘前学院聖愛の前に涙をのんでいた。「三度目の正直」を狙ったが、1点差で敗退。「悪かった」と兄には伝えようと思っている。

 「目立った力がなく、歴代最弱と言われた」という今年のチーム。下馬評を覆してやろうと自主練習に励んだ。春は17年ぶりの東北地区大会に出場、1勝を挙げた。

 チームの反骨心は、この日の試合でも光った。先発の横嶋晃志(3年)は「初戦の登板で良くなくて、久しぶりに使ってもらったので燃えた」と1失点の快投。「『1点はOKだ』と、阿保や仲間が声をかけてくれた」と話す。

 「自分たちを信じてやって来て夏の4強に入れた。後輩たちには成果と悔しさを次に生かしてほしい」と阿保。兄から弟へと受け継がれた悔しさは、脈々と受け継がれていく。(土井良典)