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 「疲れた」――。熱射病で死亡した愛知県豊田市の小学1年の男児(6)は、校外学習の道すがら、この言葉を口にしていたという。幼い子どもは体調が悪くても、うまく言葉にできない。小児科医は、子どものシグナルを敏感にくみ取って熱中症から守ってほしいと訴える。

 17日午前10時過ぎ、豊田市立梅坪小学校の1年生は約1キロ先の公園まで、約20分かけて歩いた。気温は32度超。市教育委員会や学校によると、亡くなった男児は「疲れた」と口にした。列から遅れ、20代の担任教諭が手をつなぐこともあったという。午前11時半に学校へ戻り、約20分後に意識を失った。

 「どんどん顔色が悪くなった」。同級生の母親は、男児の帰りの様子を我が子から聞いた。別の母親も「帰りにふらふらとつらそうに歩いていたと、子どもから聞きました」。孫が校外学習に参加した60代女性は「公園から帰って来る子どもたちを見たけど、みんな顔が真っ赤だった」。孫も「疲れた」と語っていたという。

 市内の小学校に勤める男性教諭(50代)は困惑を隠さない。「子どもが『疲れた』と言うことはよくある。そのたびに校外学習や遠足を中止し、保健室へ行かせるのは現実的でない」

 市教委や学校は、男児が公園で遊び、学校に戻ると自力で2階の教室へ歩いていったと説明する。この教諭は「経験の少ない若い先生がほかの子に目配りしながら判断するのは難しかったのではないか」と話す。

 「『疲れた』は熱中症のサイン。6歳ぐらいの子どもや低学年の児童は語彙(ごい)が少ない。体が熱い、歩くのが遅い、動きが鈍いなど普段と様子が違う場合は、すぐ涼しい室内で休ませてほしい」。小児科医で、子どもの傷害予防に取り組むNPO法人「Safe(セーフ) Kids(キッズ) Japan(ジャパン)」の山中龍宏理事長は指摘する。

 6歳ぐらいの子どもには、自分の体の状態を的確に判断し、表現することは難しい。炎天下で際限なく遊び続けてしまうこともあるという。山中さんは、環境省の熱中症予防情報サイトを参考にすることを勧める。気温や湿度、日射などから算出した「暑さ指数」がわかる。熱中症の危険性が最も高い「危険」の場合は、「屋外活動を控えるべきだ」と山中さんは訴える。

 「これから夏休み。外で遊ぶリスクを大人が知って、決して子どもたちに無理をさせないでほしい」

 豊田市教委は、当日の状況を改めて教職員らから聞き取り調査を始めており、検証結果としてまとめ、再発防止策に生かす方針だ。

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